◎ジンバブエのインフレは20年ほど前から始まり、ロシア・ウクライナ戦争の影響で状況はさらに悪化した。
2022年3月23日/ジンバブエ、首都ハラレ、食料の積み下ろし作業(Jekesai Njikizana/AFP通信)

ジンバブエの首都ハラレには南アフリカから独自のルートで食料を運んでいる人たちがいる。

小麦粉、食用油、洗剤などの価格高騰にチャンスを見出した配達人たちは、ハラレの住民に市場価格より割安でこれらの商品を販売している。

地元メディアによると、ジンバブエではこれらの生活必需品が不足しており、食料、燃料、電気、すべての価格が上昇しているという。

ジンバブエのインフレは20年ほど前から始まり、ロシア・ウクライナ戦争の影響で状況はさらに悪化した。投資家や国際的な支援者も「持続不可能」な債務を理由にジンバブエから撤退している。

地元メディアによると、ガソリンはこの1週間で2度値上がりしたという。また、ジンバブエは輸入小麦の大半をロシアに依存しているため、穀物価格も高騰している。その結果、2月の消費者物価指数は66%に達した。

小売業連合会のムタシュウ会長はAFP通信の取材に対し、「値上げの波に備えなければならない」と述べ、「ジンバブエ人はより安い商品を求めて南アフリカに走るだろう」と予測した。

国内のガソリン価格は25日時点でリッター2.25ドル(約275円)。一方、配達人が南アフリカから届けたガソリンはリッター1.3ドル(約158円)ほどで販売されている。

配達人たちは南アフリカとジンバブエの国境を夜な夜な越えている。AFP通信によると、南部の国境の町バイトブリッジはアフリカ大陸で最も交通量の多い国境のひとつで、密輸が日常的に行われているという。

また大半の配達人が国境警備隊と取引しており、酒やタバコの密輸は行っていない。AFPによると、配達人の多くは現在、小麦粉の密輸に力を入れているという。

配達人が南アフリカから届け、住民が購入するシステムは主に口コミで成り立っている。商品の配送距離は最大600km。道のりは決して楽ではないが、配達人は利益、地域の住民は生活必需品を手に入れることができる。

南アフリカ出身のマプランガ氏はこの仕事を2年間続けており、1回の配達で1万ランド(約84,000円)以上の収入を得ているという。

マプランガ氏はAFP通信の取材に対し、「顧客とはWhatsAppで連絡を取り合っている」と語った。「顧客は商品を選び、私の口座に入金し、私が現地に配達します...」

マプランガ氏はトラック運転手として働いていたが、コロナウイルスの影響で職を失った。

首都ハラレの住民ムラペ氏は家族10人で配達を請け負っている。ムラペ氏によると、南アフリカで生活している姉のおかげで小麦粉を卸価格で購入できるという。

南アフリカには約300万人のジンバブエ人が暮らしており、その多くが母国の家族を支えている。

豊かな国で働くジンバブエ人の多くが母国の家族に送金しており、ハラエで国際送金サービスを利用できる店舗には連日行列ができる。

世界銀行によると、2021年に海外のジンバブエ人が自国に送金した額は約260億ランド(2,200億円)で、GDPの10%以上に相当する。

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