◎再配備される要員は500人以下で、戦闘任務のために派遣するわけではない。
2022年4月23日/ソマリア、首都モガディシュ近郊、爆弾テロの発生現場(Farah Abdi Warsameh/AP通信)

米国のバイデン(Joe Biden)大統領は16日、イスラム過激派組織アル・シャバブに対抗するため、米兵数百人をソマリアに再配備する命令に署名した。

これにより、アフリカで活動する米軍の一部がソマリアに移動し、アルカイダ系ジハード組織と対峙するソマリア軍やアフリカ連合(AU)軍に訓練などの支援を提供することになる。

国家安全保障会議の報道官は声明の中で、「パートナーにより効果的な支援を提供する」と述べている。

AP通信はホワイトハウス高官のコメントを引用し、「再配備される要員は500人以下で、戦闘任務のために派遣するわけではない」と報じた。

またAPは「要員はソマリア軍と協力し、長年の混乱から脱却するための支援を提供する」と報じている。

トランプ前大統領は任期満了直前、ソマリアに駐留していた米兵約700人に撤退を命じた。トランプ氏はソマリアで進行中の内戦を「終わりなき戦争」と呼んでいた。

軍の指導者は「部隊を一度撤退させれば、要請の都度、部隊を再配備することになり、時間と予算を無駄にし、同盟国の作戦にも影響を与える」と警告していた。

米アフリカ軍のタウンゼンド(Stephen Townsend)陸軍大将は上院軍事委員会の中で撤退と配備を「通勤」と呼ば、効率が悪く、危険極まりないと述べていた。

ニューヨーク・タイムズ紙は情報筋のコメントを引用し、「オースティン(Lloyd Austin)国防長官は、力を増し、脅威を高めているアル・シャバブに対してより効果的な戦いを可能にするため、ソマリアにおける米軍の持続的なプレゼンスを再構築する」と報じている。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、バイデン大統領はアル・シャバブの指導者と疑われる12人を標的とする国防総省の要請を承認したという。

アル・シャバブは2020年1月にケニアの米テロ対策部隊が使用する基地を攻撃するなど、東アフリカで米兵10人以上を殺害している。同年末、米国はフィリピンで飛行訓練を受けたケニア人がアルシャバブの9.11型ハイジャックテロ計画に関与したとして起訴した。

ソマリア国内におけるアル・シャバブの勢いは加速しており、支配地域を急速に広げているとされる。

15日の大統領選に勝利したハッサン・シェイク・モハムド(Hassan Sheikh Mohamud)氏は米国の決定に関する声明をまだ発表していない。

ソマリアは世界で最も危険な国のひとつであり、ソマリア・AU連合軍はアルカイダ、アル・シャバブ、アルヒジュラ、ムジャヒディン、イスラム国(ISIS)、ソマリアのイスラム国などのジハード組織と対峙している。泥沼化した内戦が終結する見通しは全く立っていない。

イスラム過激派組織アル・シャバブの戦闘員(Getty Images/AFP通信)
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