◎サヘル地域ではイスラム過激派によるテロ攻撃が急増しており、PKOも標的になっている。
マリ、首都バマコ、ロシアの民間軍事会社ワグネルの傭兵とみられる男たち(Getty Images)

国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)が10月31日、マリ北部の軍事基地から完全撤退した。

サヘル地域ではイスラム過激派によるテロ攻撃が急増しており、PKOも標的になっている。

国連によると、この撤退任務中にPKO要員少なくとも2人が負傷したという。

MINUSMAの高官はAP通信の取材に対し、「反政府勢力の活動拠点となっている都市キダルを出発したPKOの車列が即席爆発装置(IED)の爆発に巻き込まれた」と語った。

APによると、国際テロ組織アルカイダとつながりのある過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(AQIM)が犯行声明を出したという。

マリ軍政は今年初め、MINUSMAに撤退を命じた。

MINUSMAは現在、同国内にある13基地のうち8つから撤退している。

MINUSMAは声明の中で、「撤退任務は治安情勢の悪化、PKO要員に対する複数の脅威など、さまざまな理由により、極めて困難なものになっている」と指摘した。

キダルの基地には約1000人のPKO要員が駐留していた。

APはMINUSNA関係者の話しとして、「マリ軍政は機材と要員を移動させるための飛行を認めなかったため、陸路での撤退を余儀なくされた」と伝えている。

それによると、キダル基地周辺はPKOの撤退により、反政府勢力の支配下に置かれたという。

サヘル地域ではトゥアレグ族の若者で構成される反政府勢力「アザワド解放民族運動(MNLA)」とマリ軍の間で戦闘が激化しているとみられる。

軍政はイスラム過激派との戦いでも苦戦を強いられており、複数の拠点を占領されている。

キダルはMNLAの支配下に置かれたとみられるが、詳細は不明。軍政は今のところコメントを出していない。

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