◎同国の北部と南部地域では100を超える武装勢力が活動している。
ナイジェリア北部、イスラム過激派組織ボコ・ハラムの戦闘員(Getty Images)

国連は16日、ナイジェリア北東部でイスラム過激派の暴力にさらされている市民少なくとも600万人が今年13億ドルの援助を必要としていると発表した。

ナイジェリアの国連事務所が公表した人道支援計画書によると、12年以上続く過激派との紛争による死者は確認できているだけで3万5000人に達し、少なくとも200万人が避難民になったという。

同国の北部と南部地域では100を超える武装勢力が活動している。

ナイジェリア軍は同国最大の武装勢力であるイスラム過激派組織ボコ・ハラムと10年以上戦っているが、紛争終結の目途はまったく立っていない。

国連は声明で、「北東部の市民推定240万人が危機的な状況に置かれ、緊急支援を必要としている」と述べた。

また国連は「支援を必要としている人々の80%以上が女性と子ども」とした。

国連によると、栄養失調に苦しむ子供の数は今年だけで200万人増加する可能性があるという。

ナイジェリアの人口は2億1400万人を超え、増加の一途をたどっている。

今月25日に予定されている大統領選では飢餓と避難民への支援が焦点のひとつになっている。政府の統計によると、昨年末時点の失業率は33%、人口の約63%が貧困にあえいでいる。

ボコ・ハラムはナイジェリアで誕生した過激派のひとつで、西洋の教育に反対し、北東部にシャリア(イスラム法)に基づくイスラム国家の建設を目指している。

ボコ・ハラムの攻撃は近隣のカメルーン、ニジェール、チャドにも広がっている。

ボコ・ハラムと連携しているイスラム国(ISIS)関連組織「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」はチャド湖周辺を支配し、この地域の治安部隊や前哨基地を攻撃している。

国連は「被災者の人道的ニーズが深まり、増大している」とし、特に食料不安と栄養失調のリスクが高まっていると指摘した。

また国連は北東部ボルノ州の支援を急ぐ必要があり、対応が遅れれば数カ月以内に少なくとも4000人が餓死または栄養失調による疾患で死亡する恐れがあると警告した。

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