◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのあるイスラム過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2022年11月25日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマに続く道路、国連PKOの車両(Jerome Delay/AP通信)

国連合同人権事務所(UNJHRO)は7日、コンゴ民主共和国東部で昨年11月末に発生した大虐殺について、犠牲者数を131人から171人に上方修正した。

国連は昨年末に公表した予備調査で処刑された民間人を131人。コンゴ政府は300人と見積もっていた。

反政府勢力「3月23日運動(M23)」は東部の北キブ州郊外にあるキシシェ村を襲撃し、住民を処刑したとみられる。

UNJHROは年次報告書の中で、「北キヴ州の集落に対する11月末の攻撃で、住民少なくとも171人が処刑された」と述べている。

またUNJHROはこの攻撃について、「M23は国軍に協力したと疑われる民間人への報復として、住民らを処刑した」と指摘した。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も6日に公表した報告書で、「M23は地元民兵との衝突後、キシシェ村で少なくとも22人を殺害した」と非難した。

UNJHROは年次報告書の中で、「北キブ州の市民は昨年、M23の影響を強く受けた」と述べている。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成される武装勢力で、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。昨年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘しているが、ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺で告発されているフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられる。

UNJHROは「北キブ州の州都ゴマ郊外にコンゴ軍の大隊が再配備された結果、他の地域の治安維持能力に空白が生じた」と指摘している。

コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのあるイスラム過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

UNJHROは「コンゴ軍が支援する民兵も人権侵害に加担している」と非難した。

報告書によると、昨年全国で確認された人権侵害と虐待は5969件で、2021年から15%減少したという。

2022年11月7日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマ、軍の動員令に応じた市民と兵士(Moses Sawasawa/AP通信)
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