◎サイード氏は内閣改造が大好きで、2週間前に新首相を任命したばかりである。
チュニジアのサイード大統領(ロイター通信)

チュニジアサイード(Kais Saied)大統領が来月の大統領選に先立ち、10数人の閣僚を突然解任した。

大統領府は今回の人事をフェイスブックで発表したが、理由は明らかにしていない。

サイード氏は内閣改造が大好きで、2週間前に新首相を任命したばかりである。

サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。

その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。

議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。

国営メディアによると、環境、観光、貿易、保健など、全部で19人の大臣が交代したという。内務省と司法省の長官はこの3年間変わっていない。

サイード氏は後任の大臣たちに対し、「この人事は汚職を根絶するという政府の目標を達成うる取り組みのひとつである」と語ったという。

サイード氏は長年、政府を声高に批判にするメディアや活動家を取り締まる際にも、同じような理由を挙げいていた。

サイード氏は10月6日の大統領選で再選を目指している。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、先月選挙戦が始まって以来、少なくとも8人の野党候補が実刑判決を受けたり、立候補を禁じられたという。

サイード氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は大統領選の候補を絞り、サイードを氏を含むわずか4人の立候補を許可。立候補には1万人分の署名が必要であり、多くの候補がこれを集められず、立候補を諦めた。

サイード氏のライバルとされる野党の有力議員の多くが投獄されているため、地元メディアによると、サイード氏の再選は揺るぎそうにない。

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