◎紛争地域から逃れた多くの移民が北アフリカのチュニジアやリビアから頼りないボートに乗り込み、イタリアやギリシャへの入国を試みている。
チュニジア沖、アフリカの亡命希望者たち(Getty Images/AFP通信)

チュニジアの沿岸警備隊は12日、欧州への亡命を希望する移民を乗せたボートが沖合で沈没し、少なくとも10人が死亡したと発表した。

当局によると、事故は首都チュニスの南方約300kmに位置するスファックスの沖合で11日に発生。沿岸警備隊は72人を救助し、10人の遺体を収容した。

亡くなったのは全員、サハラ砂漠以南の国々から逃れたアフリカ人であった。

沿岸警備隊は声明の中で、「巡視艇はスファックス沖で国境を不法に超えようとする試みを阻止した」と述べている。

救助された76人のうちチュニジア人は4人だけだった。

この事故を調査するスファックス地検の報道官はAFP通信の取材に対し、「20~30人が行方不明になっている可能性があり、沿岸警備隊が捜索を続けている」と語った。

チュニジア沖では7日と8日にも移民船が沈没し、少なくとも27人が行方不明のままである。

3月末には沖合で移民船3隻が転覆し、アフリカ人29人が死亡した。

紛争地域から逃れた多くの移民が北アフリカのチュニジアやリビアから頼りないボートに乗り込み、イタリアやギリシャへの入国を試みている。

チュニジアの海岸とイタリアのランペドゥーサ島は150kmほどしか離れておらず、移民のホットスポットになっている。イタリア政府は今週、移民の急増を受け、非常事態を宣言した。

チュニジアのサイード(Kais Saied)大統領は2月、多くの不法移民が犯罪に関与していると糾弾し、取り締まりを強化すると宣言した。

サイード氏は演説の中で、「サハラ以南の不法移民の群がチュニジアに暴力と犯罪をもたらしている。国の人口構成を変えようとする犯罪行為を容認することはできない」と主張した。

この演説の後、チュニジアで生活する非正規の移民数千人が嫌がらせや暴力に直面し、一夜にして職と住まいを失った。

チュニジアに入国した移民の大半が海路で欧州を目指す。

政府の統計によると、今年に入ってから約1万5000人の移民を海岸や沖合で拘束。前年同期間のほぼ5倍に急増したという。

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