◎2019年にノーベル平和賞を受賞したアビィ・アハメド首相は、過去10年で世界最悪と呼ばれる人道的危機に対処するよう国際社会から圧力をかけられている。
2021年10月4日/エチオピア、首都アディスアベバの議会議事堂、宣誓するアビィ・アハメド首相(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

10月4日、エチオピアのアビィ・アハメド首相は首都アディスアベバの議会で2期目の任期をスタートさせ、所信表明演説の中で致命的なティグライ危機に言及した。

アビィ首相は議会の外に集まった人々に、「ティグライ紛争はエチオピアに多額の代償を支払わせた」と語った。「政府はティグライの指導者に友情を示しました。しかし、テロリストは国民の希望と願いを打ち砕きました...」

2019年にノーベル平和賞を受賞したアビィ首相は、過去10年で世界最悪と呼ばれる人道的危機に対処するよう国際社会から圧力をかけられている。

ティグライ地域の紛争は昨年11月に本格化した。エチオピア政府はティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)をテロ組織に指定したうえで、その管理下に置かれている住民600万人に援助物資を提供する国連やその他の人道団体を非難してきた。

アビィ首相の与党繁栄党は6月の議会選挙で大勝を収めたが、TPLFは選挙結果を却下し、支配権をティグライ地域から他の州に広げようとしている。

アビィ首相は所信表明演説の中でティグライ紛争の終結に向けた全国対話を開始し、平和を取り戻すと宣言した。現地メディアによると、就任式にはケニア、ナイジェリア、セネガル、ウガンダ、ソマリア、ジプチ、南スーダンの首脳が出席したという。

ジブチのイスマイル・オマル・ゲレ大統領は群衆に、「平和なエチオピアを見たい」と語った。「私たちはアフリカの平和が脆弱であることを知っています。ジプチは強く進歩的で平和なエチオピアが帰ってくると確信しています...」

隣国エリトリアの情報相はイサイアス・アフェウェルキ大統領のメッセージを共有した。「アビィ政権とエリトリア政府の関係はさらに強化されるでしょう...」

エリトリアとTPLFは犬猿の仲であり、1998年の国境紛争と1991年のエリトリア独立戦争で激しく殺し合い、今回のティグライ紛争でも各地で衝突した。

アビィ首相は先週、ティグライ地域の住民約600万人に人道援助を提供しようとした国連職員7人を国外に追放した。国連、アメリカ、一部の欧州諸国はこの措置に強く反発している。

国連の人道責任者であるマーティン・グリフィス氏は先週、AP通信のインタビューの中で、「良心の汚れがティグライ危機を加速させている」と述べ、アビィ首相の人道援助阻止を厳しく非難した。

一方、アメリカはティグライ地域への人道物資輸送が許可されなければ、エチオピア政府にさらなる制裁を科すと圧力をかけている。

人権NGOアムネスティ・インターナショナルのフィセハ・テクル氏はAP通信の取材に対し、「圧力はエチオピア政府のコミットメントを更新し、国の人権強化に役立つと思う」と述べた。

国連人権高等弁務官事務所とエチオピア政府が創設したエチオピア人権委員会によるティグライ紛争の共同調査結果は、11月1日に公表される予定。

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