◎治安部隊は首都ハルツームとオムドゥルマンのデモ隊に実弾を使用し、子供を含む少なくとも8人が射殺された。
2022年6月30日/スーダン、首都ハルツーム、軍事政権に抗議するデモ(Marwan Ali/AP通信)

スーダンの人権団体は30日、軍事政権に反対する抗議デモに参加した市民少なくとも8人が治安部隊に射殺されたと報告した。

2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会によると、治安部隊は首都ハルツームとオムドゥルマンのデモ隊に実弾を使用し、子供を含む少なくとも8人が射殺されたという。8人の身元は明らかにされていない。

ハルツームのデモ隊は数千人に膨れ上がったと伝えられている。治安部隊は政府庁舎に近づいた市民に催涙ガス弾を発射した。

スーダンを30年にわたった支配した独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)は2019年4月の無血クーデターで追放され、その後、抗議デモを主導した「自由と変化の勢力(FFC)」などの市民グループは軍当局と軍民合同政府「ソブリン評議会」を発足させた。

しかし、その取り決めはブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍が主導した昨年10月の軍事クーデターで崩壊し、同国はかつてない経済的・政治的混乱に陥っている。

FFCやその他の人権団体は軍事政権に反対するデモを30日に行うと呼びかけていた。

国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は30日、「スーダンの治安当局はデモ隊に対する過剰な武力行使を続けている」と懸念を表明した。

世界各国のインターネット接続状況を監視する英団体ネットブロックス(NetBlocks)によると、スーダンの多くの携帯・固定回線プロバイダーのインターネットアクセスが30日に遮断されたという。

軍事政権はデモ隊の情報拡散を防ぐためにインターネットを定期的に遮断している。

ネットブロックスは声明で、「スーダン軍は表現の自由や集会の自由を含む基本的権利を否定し、インターネットやソーシャルメディアを制限しているようにみえる」と指摘した。

首都ハルツームでは昨年10月のクーデター以降、ほぼ毎週、数千人規模のデモ行進が行われている。スーダン医師会によると、治安部隊に殺害されたデモ参加者は確認されているだけで111人に達し、数千人が負傷したという。

治安部隊は著名な政治家や活動家など数百人を拘束したが、信頼を回復する取り組みの一環として最近この多くを釈放している。

クーデター以来、国連のスーダン派遣団、アフリカ連合、東アフリカ地域の地域経済共同体「政府間開発機構(IGAD)」などが政治的行き詰まりを打開するための協議を仲介してきた。

米国も軍事政権と民主派勢力の会合を仲介しているが、突破口を開く見通しは今のところ立っていない。

2022年6月30日/スーダン、首都ハルツーム、軍事政権に抗議するデモ(Marwan Ali/AP通信)
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