◎両国は国境付近の広大な農地をめぐって争っており、関係は年々悪化している。
2019年6月29日/スーダン、首都ハルツーム近郊、ブルハン将軍(Hussein-Malla/AP通信)

アフリカ連合(AU)は29日、スーダン軍とエチオピア軍が国境付近で衝突したことについて、「軍事的緊張が高まることを深く憂慮している」と声明を発表した。

AU議長の報道官は両国に武器を置き、対話で問題を解決するよう促した。

国境の緊張は先週報告された事件で急速に高まった。

スーダン外務省は22日、国内のある地域で国軍の兵士8人がエチオピア軍に処刑されたと報告した。スーダン軍は越境と兵士殺害を非難し、報復すると警告した。

エチオピア政府はスーダンの発表を否定している。政府報道官によると、越境したのはスーダン軍で、地元の民兵と衝突し死傷者が出たという。

政府報道官は声明で、「この問題を解決するためには両国の独立した機関による合同調査が必要」という認識を示した。

スーダン国境に近いエチオピアの町の住民は29日、AP通信の取材に対し、「28日午後までスーダン軍の激しい砲撃が続き、町はボロボロになった」と語った。

両国は国境付近の広大な農地をめぐって争っており、関係は年々悪化している。スーダン政府はエチオピアが土地を不法占拠していると非難している。

この地域では散発的な戦闘が続いているとみられ、2年ほど前にも両軍の兵士がにらみ合う事態に発展した。両国は2020年12月にスーダンの首都ハルツームで協議を行っているが、進展はみられなかった。

スーダン政府は昨年11月、この地域にエチオピア軍と民兵組織が攻撃を仕掛け、スーダン軍の兵士6人が死亡したと報告した。

一方、エチオピア政府はスーダン軍がエチオピア北部ティグライ州の紛争を利用して越境攻撃を仕掛けてきたと主張している。

両国はナイル川の支流のひとつ、青ナイルで建設が進む大エチオピア・ルネサンスダムでも対立している。スーダンとエジプトはナイル川の水量が減少したり、干ばつが発生する恐れがあると警戒している。

3カ国はこれまで何度か交渉を行ってきたが、水を貯めるスピードや干ばつが発生した際の取り決めなどは未解決のままである。エジプト政府は紛争に備え、拘束力のある法的合意を求めている。

エチオピアは今年2月、同ダムの1基の発電を開始した。

2019年9月26日/エチオピア、ベニシャングルグムズ地方、大エチオピア・ルネサンスダム(ロイター通信/Getty-Images)
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