◎軍政は停戦に関する公式声明を出していない。
2023年4月17日/スーダン、首都ハルツームの通り(Marwan Ali/AP通信)

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは18日、スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が24時間の停戦で合意したと報じた。

首都ハルツームなどで繰り広げられた4日間の戦闘による死者は確認できているだけで180人を超え、2000人近くが負傷したと伝えられている。

軍政とRSFの戦闘は15日に勃発し、世界食糧計画(WFP)の職員3人を含む180人以上が死亡。国軍の兵士、RSFの戦闘員、民間人が死亡したとみられるが、詳細は明らかになっていない。

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は18日、スーダンの米外交官の車列が攻撃を受けたと明らかにした。

それによると、車列は17日に銃撃を受けたという。アルジャジーラは情報筋の話として、「RSFの戦闘員が銃撃した」と伝えている。負傷者は報告されていない。

またアルジャジーラは軍関係者の話として、「政府は停戦を尊重する」と報じた。

米CNNニュースは軍政を率いるブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍の声明を引用し、「陸軍は24時間の停戦に応じる」と伝えた。

しかし、軍政は停戦に関する公式声明を出していない。

アルジャジーラによると、ハルツームとその北方に位置するオムドゥルマンでは18日午後に爆発音が確認されたという。ハルツームの北西約350kmに位置する軍の基地周辺でも戦闘が発生したと伝えられている。

国連によると、15日の戦闘開始以来、民間人を含む185人以上が死亡、1800人以上が負傷したという。(民間人と戦闘員の内訳は不明)

人権団体「スーダン医師中央委員会」は18日、民間人少なくとも144人が戦闘に巻き込まれて死亡し、1400人以上が負傷したと発表した。

それによると、戦闘が続いている地域に立ち入ることはできず、死傷者数は増える可能性が高いという。

軍とRSFは2019年の独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)追放作戦で力を合わせたものの、民政移管に向けた協議で対立。衝突を引き起こした。

RSFはバシルが創設したアラブ系部族民兵「ジャンジャウィード」から派生した組織のひとつ。2013年に設立された。

ブルハン氏は民政移管に向けた取り組みの一環として、RSFを含む国内の様々な武装勢力を陸軍に統合するよう求めている。

RSFはバシルが主導したダルフール紛争でアフリカ系部族を虐殺したと告発されている。ダルフール紛争の死者数は最大30万人、300万人近くが故郷を追われたと考えられている。

アルジャジーラによると、ブリンケン米国務長官は軍政およびRSFのトップと17日遅くに電話で協議したという。

RSFを率いるダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)将軍は18日に自身のツイッターアカウントを更新。「ブリンケン氏と協議し、24時間の人道的停戦を承認した」とツイートした。

軍政はRSFが先制攻撃を仕掛けてきたため、応戦したと説明している。アルジャジーラは軍関係者の話として、「戦闘は決定的な局面を迎えており、今後数時間でRSFを抑えることができる」と報じた。

ハルツームの住民は18日未明に陸軍の戦車が市中心部に入り、軍司令部のある施設に向かったとSNSに投稿している。夜間には戦闘機が上空を飛び交い、対空砲火が空を照らした。

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