◎ラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山は19日の午後3時過ぎに噴火した。
2021年9月20日/スペイン、カナリア諸島のラ・パルマ島(Getty Images/AFP通信)

9月21日、スペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島で発生した火山の噴火は島民に深刻な影響を与え、これまでに6,000人以上が避難を余儀なくされた。死傷者は今のところ報告されていない。

ラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山は19日の午後3時過ぎに噴火した。島で大規模な噴火が観測されたのは約50年振り。

山の周辺では1週間ほど地震活動が続いていたため、科学者たちは周辺住民に警戒を呼び掛けていた。

現地メディアによると、溶岩は西の尾根に沿って進み、火口近くの小さな集落を飲み込んだという。また、山の斜面にできた新たな亀裂から溶岩が噴出したため、自治体はエル・パソの全域に避難命令を出した。

ラ・パルマ島評議会は声明で、「溶岩は海に到達する可能性がある」と述べ、「溶岩から離れた場所にいても有毒ガスの影響を受ける可能性がある」と島民に警告した。

評議会は溶岩の進行方向にあたる地域と海上周辺を立入禁止区域に指定した。

評議会のマリアーノ・エルナンデス議長は、「有毒ガスはボートで海上に避難した人々にも影響を与える可能性があるため、対象地域には絶対に近づかないでください」と呼びかけた。

政府の専門家によると、溶岩は21日中に西岸に到達する見込みだという。警察は対象地域の住民に避難を命じ、他の地域の住民には溶岩の見学を控えるよう呼びかけた。

溶岩は時速約700mで斜面を滑り降り、その後時速200mまで減速したと推定されている。住民は家財の運び出し作業に追われた。

エル・パソのセルヒオ・ロドリゲス市長は地元メディアのインタビューの中で、「少なくとも民家300軒が溶岩の被害を受けた」と報告した。

警察や現地メディアによると、これまでのところ死傷者は確認されていないが、民家だけでなく人気観光地のホテル、プール、農場なども被害を受けたという。

避難を余儀なくされた女性は公共ラジオの取材に対し、「自宅が影響を受けていないか心配」と語った。

別の住民は、「噴火の直後に避難命令が出たため、貴重品以外は自宅に残してきた」と述べた。

1971年と1949年の噴火を経験したエル・パソの司祭ドミンゴ・ゲラ氏は地元メディアの取材に対し、「今回の噴火は前回と前々回よりはるかに深刻」と語った。

スペインのメディアは西部のロス・カンピトス小学校が溶岩に飲み込まれたと報じた。同校の校長によると、生徒23人の少なくとも半分は自宅も失ったという。

スペインのペロド・サンチェス首相は救援活動を支援するためにカナリア諸島に飛び、アンヘル・ビクトル・トーレス大統領らと会談した。サンチェス首相はニューヨークの国連総会に出席する予定だった。

現地メディアによると、初期の噴火で火山灰が排出されたが、カナリア諸島の航空路線に影響は出ていないという。

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