◎教皇は説教の中でエチオピアの危機がこれ以上悪化しないことを強く望んでいると述べた。
2021年11月7日/バチカン市国、フランシスコ教皇(Alessandra Tarantino/AP通信)

11月7日、フランシスコ教皇はエチオピアの北部ティグライ地域で進行中の人道的危機に深刻な懸念を表明し、対話による解決を求めた。

教皇は説教の中でエチオピアの危機がこれ以上悪化しないことを強く望んでいると述べ、「紛争は多くの犠牲者と深刻な人道的危機を引き起こしている」と懸念を表明した。

国軍とティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は1年前に本格化し、これまでに民間人数千人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFはオロモ解放戦線などの反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃で地域の支配権を取り戻した。

TDFはティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の大半を支配下に置き、さらに首都アディスアベバ近郊の都市を占領したと伝えられている。主要な野党グループと反政府勢力は5日、米ワシントンD.C.でアビィ・アハメド首相の追放を目指す統一戦線の結成に合意した。

教皇はサンピエトロ広場に集まった人々に、「ティグライ危機の解決に向けた対話の道が開くよう祈ってほしい」と訴えた。「エチオピアの人々は深刻な飢餓と激化する紛争の中で苦しんでいます。友愛と平和的な対話の道が開くよう祈ってください...」

国連安全保障理事会は5日の緊急会合で紛争の終結と飢餓危機への対処を求める声明を発表した。

一方、ローマに本部を置く国連世界食糧計画(WFP)は先週、紛争に関与する全ての当事者に、食糧、医薬品、その他の人道物資を必要な人々の元に届ける許可をエチオピア政府に要請したが、政府はこの要請を無視している。

ティグライ地域の飢餓危機は過去10年で世界最悪と見なされており、国連は今年公表したレポートの中で40万人以上が年内に餓死する可能性があると警告した。アビィ首相はティグライにつながる道路の検問を強化しており、国連を含む人道組織の輸送トラックは目的地に到達できずにいる。

2021年6月23日/エチオピア北部のティグライ地域、トゴガの住民(AFP通信/Getty Images)
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