◎国境フェンスは3重になっており、1つ目と2つ目の間にも国境警備隊が待機している。
2022年3月3日/スペイン、自治都市メリリャとモロッコの国境フェンスを乗り越えた人々(Getty Images/AFP通信)

3月2日、スーダンの紛争地からモロッコにわたった青年はスペインの自治都市メリリャの国境フェンスを飛び越えると語り、「失敗しても諦めない」と誓った。

メリリャはアフリカ大陸北西部に位置するスペインの都市で、1995年に自治権を与えられた。スペイン当局によると、メリリャではここ数日、800人以上の移民希望者が高さ6mの国境フェンスを乗り越え、入国に成功したという。

一度国境を越えた人を押し戻すことは国連の難民条約で定められている「亡命申請」の機会を奪う違法行為である。

スーダンの青年アブデラ氏はAFP通信の取材に対し、「森で3カ月間過ごしウンザリしたので、国境越えにチャレンジします」と語った。

アブデラ氏を含むサハラ以南の国から逃れた少なくとも2,500人は2日午後、モロッコとメリリャの国境に突撃し、国境警備隊を圧倒し、有刺鉄線付きのフェンスをよじ登ろうとした。

国境フェンスは3重になっており、1つ目と2つ目の間にも国境警備隊が待機している。

4日午前には1,000人以上がより良い未来を求めてフェンスをよじ登った。

移民希望者の多くはスペイン本土や欧州への移住を望んでおり、メリリャの西約400kmに位置するスペイン領セウタでも同様の事件が頻発している。

スペイン当局によると、2021年にフェンス越えを成し遂げた移民希望者は1,092人だったという。3月2日から4日の間にフェンスを越えた者は800人を超えた。

入国に成功したある男性はAFP通信に、「モロッコとスペインの法執行機関は私たちを殴った」と語った。

国境越えに失敗した者の多くがひどく負傷し、足を骨折した者もいると伝えられている。

鍛冶屋で働いていた南スーダン出身のマジュブ氏は、1つ目のフェンスで足を負傷したにもかかわらず、必ず成し遂げると誓った。しかし、足の怪我が治るまではモロッコで仕事を探し生活する予定とのこと。

地元メディアによると、国境付近の森はサハラ以南の国からやってくる移民希望者の避難所になっているという。

スーダンから亡命した17歳のモハメド氏も2日にフェンスを乗り越えようとした。同氏は8ヶ月前に初めてモロッコに到着して以来、メリリャとセウタで何度か国境超えに挑戦し、失敗したという。

モハメド氏はAFP通信に、「前回失敗した時はカサブランカに送り返されましたが、絶対に諦めません」と語った。「自分の夢を実現させたい。スーダンにいても希望はありませんから...」

モハメド氏と同じ17歳のチャド人女性は欧州に移住したいと切望している。「国境を開けてほしい。私たちを助けてください」

チャドは世界で最も腐敗した国のひとつであり、2021年には現職の大統領が武装勢力との戦闘に参加し、死亡したと伝えられている。

こうした移民の入国チャレンジは昨年5月にモロッコが国境管理を緩和したことで急増した。

スペインとモロッコ政府は移民対策で良好な関係を維持していたが、モロッコで戦争犯罪人とみなされているサハラ砂漠独立運動ポリサリオ戦線の指導者ブラヒム・ガーリ氏が人道的理由でスペインの病院に入院して以来、両国の関係は緊張している。

スポンサーリンク