◎現地メディアによると、火口周辺の山体の一部が崩壊したことで新しい溶岩の川が形成されたという。
2021年10月8日/スペイン領、カナリア諸島のラ・パルマ島(ダニエル・ロカ/AP通信)

スペイン領カナリア諸島の現地メディアによると、ラ・パルマ島の火山から放出された溶岩が新しいマグマの川を形成したという。

ラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山は9月19日の午後3時過ぎに噴火し、これまでに6,000人以上が避難を余儀なくされ、1,000軒以上の家屋が破壊された。死傷者は報告されていない。

現地メディアによると、火口周辺の山体の一部が崩壊したことで新しい溶岩の川が形成されたという。なお、噴火直後に形成されたルートにも溶岩は流れ続けている。

当局は10月9日の声明で、新しい溶岩のルートはすでに被害を受けている地域内にとどまるだろうと述べた。火口の西部に位置する地域には避難命令が出ており、当局者以外の立ち入りは禁止されている。

一方、警察は西部の避難地域外の住民にも注意を呼びかけ、より安全な地域もしくは避難所に移動するよう促した。現地メディアによると、避難命令の出ている地域の境界付近で生活している住民たちは車に貴重品や家財を積み込み、安全な場所に移動したという。

カナリア諸島政府危機管理室のミゲル・アンゲル・モルクエンデ氏は記者団に対し、「当局と専門家チームは溶岩流が大西洋に到達して以来、海岸地域に形成された溶岩の大地と火口周辺の監視を継続している」と述べた。

モルクエンデ氏は、「溶岩の流れは多少変化したが、噴火活動に大きな変化は見られず、新しい溶岩の川も避難命令地域内にとどまる可能性が高い」と述べ、住民に落ち着いて行動するよう呼びかけた。

EUのコペルニクス緊急事態管理サービスによると、9日の時点で破壊された家屋は1,186軒に達し、西部地域の497ヘクタール(東京ドーム100個分)が溶岩で覆われたという。

火口の東に位置するラ・パルマ空港は火山灰の影響で一時閉鎖を余儀なくされたが、先日運航を再開した。ラ・パルマ島の人口は約85,000人、島の主要産業は果実の栽培で、今回の噴火はバナナ農園に深刻な影響を与えたと伝えられている。

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