SHARE:

ガーナ政府、南アフリカとの首脳級会合を延期、反移民デモ激化受け

南アでは近年、高い失業率や犯罪の増加、生活費高騰への不満を背景に、移民が雇用や公共サービスを圧迫しているとの主張が広がっている。
2026年7月1日/南アフリカ、ヨハネスブルグ、不法移民に抗議するデモ(ロイター通信)

アフリカ西部・ガーナ政府は7日、来月予定していた南アフリカとの首脳級会合を延期すると発表した。南ア国内で外国人を標的とした反移民デモや暴力事件が相次いでいることを受けた措置で、ガーナ政府は「現在の状況では建設的な協議よりも治安問題が議論の中心となる恐れがある」と説明した。両国は新たな開催日程を調整する方針だ。

延期されたのはガーナが主催し、マハマ(John Mahama)大統領と南アのラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が共同議長を務める予定だった二国間委員会である。経済協力や投資促進、安全保障など幅広い分野について協議する計画だったが、ガーナ政府は報道官は反移民暴力が続く状況では会合本来の目的を達成できないとの判断を示した。一方で、両国の外交関係そのものを見直すものではなく、対話は継続すると強調した。

南アでは近年、高い失業率や犯罪の増加、生活費高騰への不満を背景に、移民が雇用や公共サービスを圧迫しているとの主張が広がっている。6月末には反移民団体が不法滞在者に国外退去を求める期限を一方的に設定し、全国各地でデモが行われた。大半は平穏に終わったものの、一部では商店の略奪や外国人への襲撃が発生し、警察が900人以上を逮捕した。

こうした混乱を受け、ガーナ政府は自国民数百人を帰国させる対応を進めている。また、デモに関連してガーナ人1人が死亡したとの情報もあり、事件の経緯を巡って南ア当局との見解に食い違いが生じている。南ア警察は死亡事案と反移民暴力との直接的な関連は確認されていないとしているが、ガーナ側は十分な調査と再発防止策を求めている。

反移民感情の高まりは周辺国にも影響を及ぼしている。ナイジェリアやマラウイなども自国民の安全確保に乗り出し、一部の国は外交ルートを通じて南ア政府に懸念を伝えた。人権団体は移民が失業や犯罪の原因とする見方には十分な根拠がないと指摘し、経済問題の責任を外国人に転嫁する風潮が暴力を助長していると警鐘を鳴らしている。

今回の会合延期は長年良好な関係を維持してきたガーナと南アの間にも反移民問題が外交上の影響を及ぼし始めたことを示す象徴的な出来事となった。両国は関係維持の姿勢を崩していないものの、南ア政府には国内の治安回復と外国人保護に向けた実効性ある対応が一層求められている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします