◎ある住民は「ゾウより国民を保護しろ」と政府を非難した。
2020年6月5日/ガボンの国立公園(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

中央アフリカ、ガボン当局は30日、密猟者を取り締まるチームの運用を本格的に開始したと発表した。

この密猟防止部隊は2年前に結成され、ベルギーのNGO(Conservation Justice)とスイスに拠点を置く森林管理会社(Precious Woods CEB)が協賛している。

部隊のリーダーはアフリカニュースの取材に対し、「特定の地域で密猟が多発している」と説明した。

部隊は国内の密猟記録を管理するデータベースや地元の情報を活用して、広大な密林をパトロールするとしている。

ガボン政府は生物と自然の保護を最優先事項のひとつに掲げており、2000年代初頭から保護活動に多くの予算を割り当て、意識を高めてきた。

当局によると、密猟防止部隊は昨年、数十の武器と密猟品を押収し、象牙の密輸に関わった8人を逮捕したという。

しかし、一部の住民は保護活動に不満を表明している。

東部の村で生活する女性はアフリカニュースのインタビューの中で、「政府は国民よりゾウを優先している」と不満を表明した。「政府は私たちよりゾウが大切だそうです。ゾウは村の作物を食い荒らし、田畑を荒らします。村長は餓死するぐらいならゾウの肉を食おうと言っています」

政府の保護活動は大きな成果を上げており、国内のゾウ個体数はこの10年で約2倍の9万頭に増加した。

ベルギーのNGOは30日に地元住民向けの説明会を行い、密猟防止部隊の活動などについて説明した。

説明会に参加した一部の住民は懸念を表明した。

30代の男性はアフリカニュースに、「村を荒らすマウンテンゴリラやマルミミゾウに同情するつもりはない」と語った。「密猟防止には賛成しますが、村に入ったマウンテンゴリラには容赦しません。私はライフルで何頭も撃ち殺しています。奴らは農園を荒らし、人を襲います」

別の住民も「ゾウより国民を保護しろ」と政府を非難した。

ガボン政府の保護活動は一定の成果を上げているが、現場にはまだ多くの課題が残っている。

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