◎フランスはサヘル地域のイスラム過激派組織に対するバルハン作戦を2014年に開始し、マリ、チャド、モーリタニア、ニジェール、ブルキナファソ軍を支援してきた。
2020年8月22日/マリ共和国、首都バマコの防衛省施設、アシミ・ゴイタ大佐(AP通信)

6月3日、フランス政府はマリ共和国で発生した軍事クーデターを厳しく非難し、文民政府への権力の移行が保証されるまでマリ軍との合同作戦を停止すると発表した。

フランスはサヘル地域のイスラム過激派組織に対するバルハン作戦を2014年に開始し、マリ、チャド、モーリタニア、ニジェール、ブルキナファソ軍を支援してきた。

マリ軍のアシミ・ゴイタ大佐は先月末、バ・ヌダウ暫定大統領とモクタール・ウアネ暫定首相を逮捕し、議会を解散したうえで、暫定大統領に就任した。

軍事クーデターを受け、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とアフリカ連合(AU)は先週、マリを加盟国から一時的に除外すると発表した。

フランス政府は声明の中で、「文民政府への移行を待つ間、フランスは一時的な措置としてマリ軍との合同作戦を停止することに決めた」と述べたが、サヘル地域から撤退するわけではないと補足した。フランス軍は地域に残り、他のアフリカ連合軍と協力して活動する。

フランス国防省の当局者はAP通信の取材に対し、「マリの軍事政権はECOWASとAUからすでに除外されており、さらなる孤立は避けたいと考えるだろう」と述べた。「今回の決定はマリ当局の回答に照らして、今後数日以内に再評価される予定です」

ゴイタ大佐は昨年8月の軍事クーデターで一度権力を奪取したが、国際社会の非難を受け、バ・ヌダウ氏とモクタール・ウアン氏に権力を移行することに合意した。しかし、移行から1年も経たぬうちに新たな軍事クーデターを主導し、暫定大統領と首相は追放された。

ゴイタ大佐は予定通り、来年2月までに民主的な選挙を行うと約束したが、軍事政権下で公正な選挙が行われるという保証はない。国連はマリの平和維持ミッションに年間約12億ドル(約1,300億円)を費やしており、来年2月までに民主的な選挙で新議会を組織するよう求めている。

サヘル地域などで活動しているイスラム国(IS)とアルカイダ系ジハード軍の関連組織は国連平和維持軍とアフリカ連合軍への攻撃を継続しており、一連のマリ北部紛争が収束する見通しは全く立っていない。

2020年8月24日/マリ共和国、首都バマコ、アシミ・ゴイタ大佐(AP通信/Baba Ahmed)

スポンサーリンク