◎国連と米国を含む国際社会が戦闘の激化に深刻な懸念を表明している。
2019年6月29日/スーダン、首都ハルツーム近郊、ブルハン将軍(Hussein-Malla/AP通信)

人権団体「スーダン医師中央委員会」は16日、首都ハルルームで国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘が続いていると報告した。

国連と米国を含む国際社会が戦闘の激化に深刻な懸念を表明している。

エジプトとチャドはスーダンの国境検問所を封鎖した。一部の専門家は西部ダルフール地方の紛争が都市部に拡大する恐れがあると警告している。

軍政とRSFの戦闘は15日に勃発し、世界食糧計画(WFP)の職員3人を含む民間人少なくとも56人が死亡、数百人が負傷した。

軍とRSFは2019年のオマル・バシル (Omar al-Bashir)追放で力を合わせたものの、民政移管に向けた協議で対立。衝突を引き起こした。

RSFはバシルが創設したアラブ系部族民兵「ジャンジャウィード」から派生した組織のひとつ。2013年に設立された。

2021年10月の軍事クーデターを主導したブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍はRSFが先制攻撃を仕掛けたと主張。RSFはこれを否定し、ブルハン氏を「嘘つき」と非難した。

アルジャジーラによると、軍はハルツーム市内に戦車部隊を展開し、戦闘機が頭上を飛び交っていたという。

戦闘は日没後も続いたようだ。軍政は市民に屋内にとどまるよう促している。

一方、WFPは16日、北ダルフール州で職員3人が戦闘に巻き込まれ死亡したことを受け、同国での活動を停止すると発表した。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は双方を厳しく非難し、直ちに武器を置くよう要請した。

またグテレス氏はWFP職員を含む多くの民間人が死傷したことに怒りを表明し、遅滞なく正義を下すよう呼びかけた。

国連はスーダンの人口の3分の1が緊急の人道支援を必要としていると警告している。

バシルが主導したダルフール紛争の死者は最大30万人、300万人近くが故郷を追われたと考えられている。バシルはこの地域にジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系部族民兵を送り込んだと告発されている。

RSFは2013年に設立された組織で、ジャンジャウィードから派生したとされる。RSFもアフリカ系部族に対する戦争犯罪で告発されている。

ブルハン氏は民政移管に向けた取り組みの一環として、RSFを含む国内の様々な武装勢力を陸軍に統合するよう求めている。

軍指導部と民主派勢力は今月初めに和解協定に調印する予定だったが、2度目の延期が決まった。和解案の詳細は明らかにされていない。

米国、中国、ロシア、EU、AU(アフリカ連合)など、世界各地から戦闘終結を求める声が上がり、バチカンのフランシスコ教皇(Pope Francis)も深刻な懸念を表明した。

AUは16日、この問題に関する緊急会合を開き、代表団を現地に派遣すると発表した。

各国政府は2021年10月のクーデター後、同国に対する支援を停止した。軍政に抗議するデモはクーデターから1年半経った今も続いている。

ブルハン氏はバシル政権で頭角を現し、クーデターを「派閥をまとめる措置のひとつ」と呼んでいる。

これに対し、RSFを率いるダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)将軍は「クーデターは国に変化をもたらさなかった」と指摘。ブルハン氏がバシルと同じように武装勢力を使って国を力づくで統治しようとしていると非難している。

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