◎ジャーナリストはティグライ州への立ち入りを禁じられているため、現地の状況を正確に把握することは困難である。
2021年8月13日/エチオピア、北部ティグライ州の集落(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

エチオピア北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は9日、政府に条件付き停戦を申し出る用意があると表明した。

軍とTPLFの戦闘は先月末再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。

AFP通信によると、TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長に宛てた書簡の中で、「いくつかの前線の戦闘が激化していることから、敵対行為の条件付き停止を求める」と呼びかけた。

またレダ氏は条件について、「北部地域への人道的アクセスと必要不可欠なサービスの復旧」を要求した。

ジャーナリストはティグライ州への立ち入りを禁じられているため、現地の状況を正確に把握することは困難である。また、州の携帯電話やインターネットサービスも不安定で、住民と連絡を取ることも難しい。

ティグライ州は他の地域から完全に切り離されているため、食料や燃料を含むあらゆる物資が不足しているとみられる。

国連はウクライナ南部の港からティグライ州向けの穀物を送ったが、陸路が使用できないため、この物資は同州に届いていない模様。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は8日、「戦闘の再開で北部ティグライ、アムハラ、アファール3州における人道支援供給は遅々として進まず、今すぐ手を打たなけれ大飢饉につながる可能性がある」と警告した。

一方、AP通信は情報筋の話を引用し、「エチオピア軍は隣国エリトリアの軍隊と協力してTPLF殲滅作戦を展開している」と報じている。

米国はエリトリア軍がこの内戦に関与し、ティグライ州の市民を虐殺したと告発しているが、エリトリア政府は沈黙を続けている。

レダ報道官は書簡の中で、エリトリア軍とエチオピア軍の撤退を監視するよう国連に求めた。

またレダ氏は国連安保理に対し、「両軍の攻撃で恐ろしい数の避難民が出ている」と訴えた。

報道によると、エチオピア政府はこの書簡に関する声明を出していない。双方は攻撃を非難し合っている。

5日にエチオピア入りした米国のハマー(Mike Hammer)特使は滞在期間を延長し、欧州特使もまもなく合流すると報告したが、それ以上の詳細は明らかにしていない。

軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が隣国スーダンなどに逃亡したとされる。

2021年8月25日/エチオピア、北部アムハラ州に設置された国内避難民キャンプ(AP通信)
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