◎国軍はティグライ州を完全包囲し部外者の立ち入りを禁じている。
2021年10月20日/エチオピア、北部ティグライ州の州都メケレ(AP通信)

エチオピア北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は13日、エチオピア軍が同州の州都メケレを空爆したと報告した。

TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は、「メケレの大学が無人機の標的になった」とツイート。施設が破壊され死傷者が出ていると報告した。

TPLFは先週、政府が提案しているアフリカ連合(AU)仲介の和平交渉に参加する意思があると表明し、西側諸国を安堵させたが、空爆が事実であれば戦闘が激化する可能性がある。

国軍はティグライ州を完全包囲し部外者の立ち入りを禁じている。

政府はいつでもどこでも、前提条件なしで交渉を行う用意があると述べている。一方、TPLFはティグライ州の基本的なサービス(水道、電話、インターネットなど)の復旧や、北部地域に攻め込んだと伝えられている隣国エリトリアの軍隊の撤退などを要求している。

メケレの医療関係者も、「今朝早くに空爆があったと連絡を受けた」とツイートした。

またこの医療関係者は負傷者を1人受け入れたと報告し、「数人から数十人が空爆に巻き込まれたという情報がある」とした。

AFP通信によると、政府報道官は質問を受けつけなかったという。

軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が隣国スーダンなどに逃亡したとされる。

軍とTPLFの戦闘は先月末再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。

TPLFは11日、AU仲介の和平交渉に応じる意思があると表明し、国連やブリンケン(Antony Blinken)米国務長官などを安堵させた。西側はこの機会を確実にものにするよう呼びかけていた。

ティグライ州を含むエチオピア北部では過去最悪と呼ばれている干ばつで食料が不足し、国連は大飢饉が発生する可能性があると警告している。

干ばつはエチオピアだけでなくケニアとソマリアの広い範囲でも続き、数千万人が人道支援を必要としている。

TPLFは今月初め、政府に条件付き停戦を申し出る用意があると表明。「人道的支援の確保と必要不可欠なサービスの復旧」を要求した。

またTPLFは国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長に宛てた書簡で、エリトリア軍の完全撤退を要求した。

世界で最も閉鎖的な国のひとつであるエリトリアはティグライ州の市民を虐殺したと西側から告発されているが、沈黙を続けている。

国連は3月、エチオピア北部の広い範囲が空爆を受け、過去3カ月で民間人300人以上が死亡、数百人が負傷したと発表した。政府はこの報告を否定している。

2019年にノーベル平和賞を受賞したアハメド(Abiy Ahmed)首相は西側を批判しているが、停戦には前向きと信じられている。

この内戦の正確な死者数は不明。国連はティグライ州だけで200万人以上が避難民になり、数千人が餓死し、数十万がいつ餓死してもおかしくない状態に追い込まれていると警告している。

国連はウクライナ南部からティグライ州向けの穀物約2万トンを輸出したが、アハメド氏はこの取り組みを批判し、「国連はエチオピアに恥をかかせようとしている」と主張した。

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