◎国軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)は3月、「無期限の人道的停戦」で合意した。
2021年7月2日/エチオピア、北部ティグライ州、TPLFに降伏した国軍の兵士(AP通信)

エチオピア北部に拠点を置くティグレ人民解放戦線(TPLF)は20日、恩赦の一環として国軍の兵士を含む約4000人を解放すると発表した。

国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

TPLF報道官のツイートによると、今回の恩赦で解放された捕虜は4208人、そのうち401人は女性だという。

報道官はTPLF高官のコメントを引用し、「捕虜の大半はティグライ州以外で展開された戦闘に参加し捕まった一般人で、その他は国軍の兵士」と説明した。

AP通信によると、TPLFは障がい者、病人、拘留中に出産した女性などを優先的に解放したという。

エチオピア政府の高官は地元メディアのインタビューの中で、「今回の釈放は両軍司令官による協議の結果であり、政治レベルの交渉はまだ始まっていない」と述べている。

TPLFが捕虜を解放したのは2回目。

国連人道問題調整事務所(OCHA)はAP通信の取材に対し、「今回の解放はティグライの食料危機が深刻であることを示している」と指摘した。

エチオピアとTPLFの衝突はティグライ州を含む北部地域に飢餓をもたらした。

国軍は2020年11月末にティグライ州と周辺地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域などで活動する反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成、昨年6月の奇襲攻撃でティグライの支配権を取り戻した。

内戦が本格化した昨年末、TPLFの主力部隊はティグライ州に撤退し、その後政府も大規模な侵攻を控えた。そして3月末、TPLFは政府が提案した「無期限の人道的停戦」に合意し、内戦はひとまず終結した。

国際援助団体によると、国軍は2021年7月頃に北部地域を封鎖したため、食料や医薬品をこの地域に届けることは困難になったという。

エチオピア政府はこの数カ月、ティグライ州に援助を届けやすくするために、封鎖を緩和している。

政府とTPLFは停戦を維持しているとみられるが、互いを非難し合っている。

TPLF報道官は先週、エリトリア軍がティグライ州の一部地域を無差別砲撃したとツイートした。

TPLFとエリトリア政府は犬猿の中であり、国境付近でにらみ合いを続けている。エリトリア軍は今回の内戦にも関与したとみられるが、国際社会が示した証拠をすべて却下している。

一方、エチオピア外相はTPLFの指導者が内戦を引き起こしたと告発し、国際社会に行動を起こすよう呼びかけている。

2021年5月8日/エチオピア、北部ティグライ州の難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)
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