◎この映像は11日からソーシャルメディアで広く共有され、北部ティグライ地域の内戦でひどく傷ついた国民の怒りに火をつけた。
2021年7月19日/エチオピア、北部ティグライ地域の住民(UNICEF/Getty Images/AFP通信)

エチオピア政府は12日、武装集団が民間人3人を生きたまま焼き殺すように見える映像が公開されたことについて、事件に関与した者をひとり残らず起訴すると宣言した。

この映像は11日からソーシャルメディアで広く共有され、北部ティグライ地域の内戦でひどく傷ついた国民の怒りに火をつけた。

エチオピアの国営メディアによると、政府は北西部ベニシャングル・グムズ地域のグバ地区で事件が発生したことを確認したという。

当局は声明の中で、「ソーシャルメディアで拡散された映像は非常に陰惨かつ非人道的であり、動機が何であれ、政府はこの恐ろしい犯罪に関与した武装集団をひとり残らず起訴するだろう」と述べた。

当局は事件に関する情報を明らかにしていない。

一方、国軍と北部ティグライ地域を争っているティグレ人民解放戦線(TPLF)は12日の声明で、焼き殺された民間人はティグライ人であると明らかにした。

TPLFによると、武装集団はティグライ州の西に位置するアムハラ州の「テロリスト」で、ベニシャングル・グムズ地域に住むティグラヤ人を狙ったという。

国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

戦争犯罪を調査しているエチオピア人権委員会は11日、TPLFが昨年8月以降、アムハラ州とアファール州を席巻し、市民を無差別に殺害し、町を激しく砲撃したと非難した。

アビィ・アハメド首相はここ数カ月で制御不能に陥った民族間紛争を抑えることに苦労している。専門家によると、内戦は隣国エリトリアが介入したことでより複雑になり、民間の犠牲者を把握することは難しいという。

TPLFとエリトリア政府は犬猿の仲であり、30年近く続いたエリトリア独立戦争やその他の国境紛争でも激しく対立した。

アビィ首相は12日の議会演説で、国民に自制と平和への取り組みを推進するよう呼びかけた。

エチオピア議会は先月、TPLFがティグライ地域に撤退し、内戦がひと段落したことを受け、国家非常事態宣言を解除した。

2021年5月8日/エチオピア、北部ティグライ地域の州都メケレ近く、国軍の兵士(Getty Images/AFP通信)
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