◎エチオピア軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡したと推定されている。
2021年9月9日/エチオピア北部アムハラ州の街道、紛争地から避難する住民(Getty Images/AFP通信)

エチオピア政府は12日、北部ティグライ州に駐留していたアムハラ州の民兵が撤退を開始したと発表した。

軍報道官によると、アムハラの民兵は人道支援活動の拠点になっているシャイアと周辺地域の部隊に撤退を命じたという。

この民兵はエチオピア軍と共にティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)と戦った。

エチオピア軍とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。

政府とTPLFは昨年11月に和平協定を結び、▽TPLFの武装解除▽ティグライ州における連邦政府の権限回復▽ティグライ州への人道支援輸送の再開▽専門家による紛争の精査などで合意した。

しかし、アムハラの民兵と隣国エリトリアは和平協定に参加しておらず、両者は協定履行の大きな課題になっていた。

地元の人権団体などによると、エリトリア軍はティグライ州内にとどまっているという。同軍は民間人を虐殺したと告発されている。

TPLFは前日、和平協定に基づき、エチオピア軍への重火器の引き渡しを開始した。

AFP通信によると、アムハラの民兵の撤退を確認する術はなく、和平協定を監視するアフリカ連合(AU)当局者とも連絡が取れなかったという。

海外メディアはティグライ州への立ち入りを禁じられているため、現場の実態を正確に把握することは困難である。

アムハラの民兵もエチオピア・エリトリア両軍と同様に、多数の人権侵害に関与したと疑われている。この民兵はティグライ州西部の領土を自分たちのものと主張し、実行支配している。

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