◎ティグライの保健当局者はAP通信の取材に対し、「国軍は22日に市場を空爆し、これまでに幼児を含む51人の死亡を確認した」と述べた。
2021年6月23日/エチオピア北部のティグライ地域、州都メケレの医療機関(AP通信)

エチオピア北部ティグライ地域の医療従事者によると、トゴガと呼ばれる集落の市場が空爆され、少なくとも51人が死亡し、100人以上が負傷したという。

ティグライの保健当局者はAP通信の取材に対し、「国軍は22日に市場を空爆し、これまでに幼児を含む51人の死亡を確認した」と述べた。「現時点で51人の死亡を確認しました。負傷者は100人以上、そのうち重症者は50人以上、少なくとも33人の安否が分かっていません...」

地元メディアによると、エチオピア軍は「テロリスト」を無力化するために空爆を実施したと述べ、民間人を狙ったという市民や医療従事者の主張を却下したという。

数十年に渡ってティグライ地域を支配してきた野党政党のティグレ人民解放戦線(TPLF)は、昨年11月に勃発したティグライ紛争で国軍と激しく衝突した。今年、TPLFは他の反政府勢力と連合を組み、ティグライ国防軍(TDF)を結成したと伝えられているが、エチオピア政府はTDFの存在を否定している。

赤十字国際委員会(ICRC)は23日、地域で負傷者の治療に当たっていると述べた。

国連は空爆の調査を要求した。

ティグライ紛争の死者数は数千人と伝えられているが、エチオピア政府は戦闘の情報を公表しておらず、正確な死傷者数は誰にも分からない。国連の報告によると、ティグライの住民少なくとも200万人が国内避難民になり、子供を含む35万人以上が壊滅的な飢餓で餓死しかけているという。

エチオピア軍は昨年11月末の紛争終結宣言以来、TPLFの指導者であるデブレツィオン・ゲブレミチャエル氏を追跡しており、各地でゲリラ戦が続いている。AP通信によると、軍とアビィ・アハメド首相の報道官はコメントの要請に応じなかったという。

ティグライの州都メケレにあるエイダー病院で治療を受けたトゴガの住民は、「飛行機は市場に爆弾を投下した」と語った。エイダー病院の看護師はAP通信に、「腹部を損傷した2歳と6歳の子供が運び込まれ、赤ちゃんは搬送中に死亡した」と述べた。

2021年6月23日/エチオピア北部のティグライ地域、トゴガの住民(AFP通信/Getty Images)

国際援助グループのスタッフはAP通信の取材に対し、「トゴガの住民や私の同僚は戦闘機を見たと言いました」と語った。「ある住民は遺体を30体以上見たと言いました。死者は100人を超えるかもしれません...」

ロイター通信の取材に応じた医療関係者は、「エチオピア軍は負傷者の救助に駆けつけた医療従事者の立ち入りを阻止した」と語った。

エイダー病院で英BBCニュースの取材に応じた16歳の少年は、爆弾で数人が吹き飛ぶところを見たと述べた。少年は手を負傷したが命に別状はないという。

しかし、エチオピア軍のスポークスマンは地元メディアの取材に対し、「市場ではなく軍事施設を空爆した」と主張した。「私たちは市場を空爆しません。あなたの主張は間違っています。軍はテロリストの拠点を正確に狙い攻撃を仕掛けます。私たちは特定の目標を空爆しました」

AP通信の取材に応じたある医師は、「国軍の兵士は22日に現地入りした赤十字の救急車に発砲した」と述べた。「軍は対象地域に入ることを許可しません。軍は負傷者を助けることはTPLFを支援することになる、テロリストを支援した者は撃たれると言いました」

政府はTPLFをテロ組織に指定している。

EUのジョセップ・ボレル安全保障政策上級代表は23日の声明で、ティグライの人権侵害を阻止するよう国際社会に呼びかけた。「エチオピア軍は戦闘を停止し、負傷者の治療を最優先し、国連の調査要求に応じなさい」

2019年にノーベル平和賞を受賞したアビィ・アハメド首相は、TPLFを含む反政府勢力をほぼ打ち負かしたと主張している。しかし、TPLFおよびそれに関連する部隊は最近、ティグライの一部地域を攻撃し、国軍に勝利したと述べた。

ティグライの指導者のひとりと伝えられているゲタチュー・レダ氏は23日、地元メディアのインタビューの中で、「ティグライ軍は爆発物、将校、およびエリトリア兵を輸送していたC-130輸送機を撃墜した」と述べたが、事実かどうかは不明。

エチオピアの主要都市では21日に総選挙の投票が行われたが、ティグライ地域の投票は延期された。地元メディアによると、投票を行った地域で大きなトラブルは報告されなかったという。

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