◎西アフリカ諸国の軍事クーデターラッシュは2020年8月から始まった。
2022年7月3日/ガーナ、首都アクラ、ECOWAS首脳会議(Francis Kokoroko/ロイター通信)

西アフリカ諸国の首脳は3日、民政復帰を約束しているマリとブルキナファソ両国に科していた制裁を解除することで合意した。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はこの地域の軍事政権や食料安全保障などについて協議する首脳会議をガーナの首都アクラで開催した。

現地メディアによると、首脳たちはマリとブルキナファソに対する経済・金融制裁をすべて解除することで合意したが、両国のECOWAS加盟停止処分は維持される。

もうひとつの軍事政権国家であるギニアは、民政復帰に向けたロードマップを提示できなかったため、制裁維持となった。

ECOWASのブロウ(Jean-Claude Kassi Brou)委員長は声明の中で、「3カ国の加盟停止処分は選挙実施まで維持する」と述べた。

一方、ECOWASはマリとブルキナファソの両軍事政権が提示した民政移行計画を受け入れた。

マリ軍は2024年3月までに大統領選を、ブルキナファソ軍は24カ月以内に政権を返上するとしている。

ECOWASは今年1月、マリとの交易をほぼ全て停止し、他のECOWAS加盟国との陸・空の国境を閉鎖する厳しい制裁を発動した。

この制裁はマリの経済を麻痺させ、人道的な懸念を引き起こした。

西アフリカ諸国の軍事クーデターラッシュは2020年8月から始まった。マリのゴイタ(Assimi Goita)大佐率いる反乱軍は選挙で選出された大統領を打倒し、その9カ月後、2度目のクーデターを実行。ヌダウ(Bah Ndaw)大統領とウアンヌ(Moctar Ouane)首相を追放した。

ギニア軍は昨年9月に大統領を追放。ブルキナファソ軍は今年1月にカボレ(Roch Kabore)大統領を追放した。

この3カ国はサハラ砂漠以南のサヘル地域で活動するイスラム過激派組織の暴力に直面しており、多くの専門家が一致団結して紛争に対処する必要があると指摘している。

ECOWASの一部首脳は、アルカイダやイスラム国(ISIS)関連組織の攻撃が迫っていると指摘し、行動を起こすよう促した。

ガーナのアクフォアド(Nana Akufo-Addo)大統領は、「テロ攻撃は現在、サヘル地域だけでなく、西アフリカの沿岸諸国にも拡大している」と述べ、懸念を表明した。「テロに対するECOWASの行動計画を維持し、安全保障の取り組みを調整・加速しなければなりません...」

またアクフォアド氏は西アフリカ諸国で今年上半期に発生した暴力について、「トーゴ、ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリアで発生したテロ攻撃は1600件を超え、少なくとも3500人が死亡した」と報告した。

ブルキナファソでは先月、過激派組織が北部の集落を襲撃し、市民少なくとも55人が殺害されている。

2012年7月16日/マリ東部ガオ、ジハード組織の戦闘員(Getty Images/AFP通信)
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