◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2022年6月17日/コンゴ民主共和国とルワンダの国境付近、コンゴ軍の兵士(Goran Tomasevic/ロイター通信)

コンゴ民主共和国当局は9日、同国のイスラム国(ISIS)系組織「民主同盟軍(ADF)」が東部・北キブ州の集落を襲撃し、市民少なくとも36人を殺害したと発表した。

北キブ州の陸軍報道官はAP通信の取材に対し、「テロリストが北キブ州郊外の集落に攻め込み、非武装の民間人少なくとも36人を殺害、数十人を誘拐し、多くの住宅を焼き払った」と語った。

報道官によると、事件は8日遅くに発生したという。軍は集落に部隊を派遣し、負傷者を数人救助した。

コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

ADFは主に北キブ州で活動してきたが、最近は隣のイトゥリ州でも攻勢を強めている。

国連、欧米諸国、人権団体はADFが子供を含む多くの民間人を虐殺、拷問、拉致したと非難している。米政府は先週ADFのリーダーであるムサ・バルク(Musa Baluku)の逮捕につながる情報に最大500万ドルの報奨金を提供すると発表した。

AP通信は目撃者の話を引用し、「ADFは8日の現地時間午後7時頃に攻撃を開始し、銃やナタで武装した男たちが村人を無差別に殺害した」と報じている。

APの取材に応じた目撃者は、「テロリストはまず家に火をつけ、出てきた住民をナタで切り刻むか、銃殺した」と述べている。

東部地域では土地、水、権力を争う泥沼の紛争が数十年に渡って続いている。国連によると、紛争の影響で600万人近くが国内避難民となり、数十万人が極度の食料不足に陥っているという。

さらに、北キブ州で攻勢を強める同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」はコンゴ軍と戦争状態にあり、各地で民間人を虐殺している。

北キブ州の市民は陸軍がテロリストに押されていることに不満を感じている。

ある生存者はロイター通信に、「陸軍は郊外の集落をカバーできるほど強くなく、テロリストの波に圧倒されている」と語った。「敵は兵士が展開する中心都市への攻撃を避け、守りが手薄な郊外の集落を狙うのです...」

専門家によると、ADFは複数の武装勢力とネットワークを構築し、ISIS系組織の資金を使って銃器を入手している可能性が高いという。

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