エボラ死者の埋葬に追われるコンゴ、怒りと感染への恐怖、極限状態の現場
埋葬チームのメンバーはほぼ毎日のように墓穴を掘り、感染者の遺体を防護服などで処置したうえで棺に納め、埋葬している。
.jpg)
コンゴ民主共和国で「エボラ出血熱」の感染が急速に拡大する中、感染者の遺体を安全かつ尊厳を保って埋葬する専門チームが、過酷な業務を続けている。感染拡大の中心となっている北東部イトゥリ州では、死者の増加に伴って埋葬件数が膨らみ、現場のスタッフは疲労と感染への恐怖に加え、遺族や住民からの怒りにも直面している。
埋葬チームのメンバーはほぼ毎日のように墓穴を掘り、感染者の遺体を防護服などで処置したうえで棺に納め、埋葬している。チームは1日20ドルの報酬を受け取って活動しているが、感染拡大の勢いが増すにつれて仕事量は限界に近づいているという。チームの代表はAP通信の取材に対し、身体的な疲労や精神的な負担を抱えながらも、地域社会を守るため活動を続けていると語った。
エボラ感染者の遺体には、死後も感染力を持つウイルスが残る可能性があり、遺体を直接扱うことは感染拡大につながる危険がある。そのため当局は、通常なら家族が担う洗浄や接触などの伝統的な葬送儀礼を制限し、専門の埋葬チームによる処置を義務付けている。しかし、この措置が遺族の反発を招いている。
家族にとって、故人に触れ、伝統的な儀式を行うことは重要な意味を持つ。感染防止を優先する当局と、最後の別れを自らの文化や習慣に沿って行いたい遺族との間で摩擦が生じ、埋葬チームが襲撃される事例も報告されている。当局は医療関係者や埋葬チームへの暴力は法律で処罰される行為だとして警告している。
今回の流行では、2026年5月中旬の発生以降、6600人を超える感染者が確認され、約3200人が死亡している。感染拡大の背景には、東部地域で続く武装勢力による紛争や住民の一斉避難、医療体制の弱さ、感染対策への不信など複数の要因が重なっている。医療従事者の一部が賃金未払いを理由にストライキを行うなど、対応能力そのものも圧迫されている。
さらに今回の流行では、エボラウイルスの一種である「ブンディブギョ株」が確認されており、既存のワクチンや治療手段が確立されていないことも対策を難しくしている。現場では、埋葬チームの家族も本人がウイルスを家庭に持ち帰るのではないかと不安を抱えている。
それでもスタッフたちは、感染者の遺体を安全に処理することが感染拡大を防ぐ重要な手段だとして業務を続けている。専門家は、感染者数や死者数だけでなく、遺族や医療従事者が受ける心理的なダメージにも目を向け、医療対策と同時に地域住民との信頼関係を築く包括的な対応が必要だと指摘している。
エボラとの闘いはウイルスそのものだけでなく、恐怖、不信、疲弊、文化的な葛藤とも向き合う長期戦となっている。
