◎先週死亡したイドリス・デビ・イトノ大統領の息子が率いる暫定軍事評議会に反対するデモが全国各地で行われ、少なくとも2人が殺害された。
2021年4月27日/チャド、首都ンジャメナ、暫定軍事評議会に反対する市民(AP通信)

チャドの現地メディアによると、先週死亡したイドリス・デビ・イトノ大統領の息子が率いる暫定軍事評議会に反対するデモが全国各地で行われ、少なくとも2人が殺害されたという。

4月17日に発生した反政府勢力との戦闘でデビ大統領が死亡したため、軍事政権と議会は解散し、暫定軍事評議会が設立された。デビ大統領は4月11日の暫定大統領選挙で勝利を宣言したばかりだった。

政府は20日にデビ大統領の息子のマハマト・イドリス・デビ・イトノ軍司令官が暫定軍事評議会の議長兼大統領に就任すると発表した。報道によると、暫定軍事評議会は移行期間(18カ月)後、議会選挙と大統領選挙を実施する予定だという。

軍事政権に反対する野党連合は法律で抗議活動を禁止されているにもかかわらず、市民にデモを呼びかけた。治安部隊は首都ンジャメナの抗議者に催涙ガス弾を発射し、他の地域でも厳しい取り締まりが行われたと伝えられている。現地メディアによると、南部の町ムンドゥーで男性1人が射殺され、首都ンジャメナでも1人の死亡が確認されたという。

デモ隊は権力を暫定軍事評議会ではなく、民主的な選挙で選出された民間人に移行するよう要求した。首都ンジャメナでは一部の抗議者がガソリンスタンドを襲撃し、タイヤを燃やした。

報道によると、治安部隊は数人の抗議者とジャーナリストを拘束したという。ジャーナリストはその後釈放されたと伝えられている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領とコンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領は、4月27日にパリで開催された首脳会談後の共同声明でチャドの暫定軍事評議会の取り締まりを強く非難し、速やかに暴力を停止するよう求めた。「私たちは文民政府が主導する民主的かつ包括的な移行プロセスを要求します。暫定軍事評議会は暴力を停止し、民主的な選挙に向けた準備を進めなければなりません」

一方、軍事政権と激しく対立している反政府勢力のひとつ、「チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)」は声明で、「故デビ大統領は息子のマハマトに殺された」と厳しく非難した。暫定軍事評議会は25日にFACTの停戦交渉の申し出を却下している。

マハマト暫定大統領は27日に初めて公式演説を行い、父親に敬意を表した。「父は残虐なテロ集団の脅威からチャドの市民を守るために戦い、命を捧げました...」

マハマト暫定大統領は、「チャドはテロの脅威に直面しているため、暫定軍事評議会を設立せざるを得なかった」と述べた。「私たちはテロリストから国家を守り、平和と安定を維持し、団結と国家の結束を保証しなければなりません。評議会は民主的な国家を継続し、危機を回避し、チャドが無政府状態に陥るのを防ぐために設立されました...」

「チャドと同盟国は過激主義との戦いにおけるコミットメントを維持、尊重すると保証します」

故デビ大統領は1990年の軍事クーデターで政権を奪取し、以来30年以上チャドを支配していた。

2005年末頃から本格化した軍事政権と反政府勢力との戦闘(チャド内戦)は2010年の停戦協定で終結したが、その後も反発的な戦闘は各地で続いている。

チャドは世界で最も腐敗した国のひとつであり、石油収入の大半は武器の購入に充てられ、インフラと市民の生活はほとんど改善されず、人口の約65%が貧困ライン以下の生活を送っている。

2021年4月27日/チャド、首都ンジャメナ、治安部隊(AP通信)
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