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ヨルダン川西岸と東エルサレムで70人の子どもが死亡=ユニセフ

西岸地区および東エルサレムではイスラエル軍とパレスチナ人の衝突に加え、ユダヤ人入植者による暴力も増加している。
2023年7月5日/ヨルダン川西岸地区の都市ジェニン(Getty Images/AFP通信)

国連児童基金(ユニセフ)は12日、2025年以降、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区と東エルサレムで少なくとも70人の子どもが死亡し、800人以上が負傷したと明らかにし、現地の治安状況の悪化が子どもに深刻な影響を与えていると警告した。この数字は平均すると1週間に1人の子どもが命を落としている計算になる。

ユニセフによると、犠牲者の多くは銃撃によるもので、実弾の使用が主要な死傷原因になっている。一方で、刺傷や殴打、催涙スプレーの使用など、暴力の形態は多様化しており、子どもが日常的に危険にさらされている実態が浮き彫りになった。また、犠牲者のうち約93%はイスラエル軍の行動に関連し、残りはユダヤ人入植者による攻撃、不発弾事故、あるいはパレスチナ側の偶発的な銃撃によるものだという。

ユニセフの報道官はジュネーブの記者団に対し、「これらは孤立した事例ではなく、子どもに対する重大な権利侵害が継続的に発生している証拠だ」と述べ、暴力が一時的なものではなく構造的な問題であると強調した。さらに、子どもたちが学校や家庭、医療など基本的な生活基盤を失いつつある状況を指摘し、長期的な影響への懸念を示した。

西岸地区および東エルサレムではイスラエル軍とパレスチナ人の衝突に加え、ユダヤ人入植者による暴力も増加している。人権団体は近年、軍事作戦の強化や入植地拡大に伴い、民間人、特に子どもが巻き込まれる事案が増えていると報告していた。ユニセフはこうした環境が子どもの身体的安全だけでなく、心理的な発達や教育機会にも深刻な影響を及ぼしていると警告している。

イスラエル軍はこの報告に対するコメントを出していないが、同地域では治安維持のための軍事作戦が続いている。一方で、パレスチナ側や人権団体は過剰な武力行使や無差別的な暴力が民間人被害を拡大させていると批判している。

国連や多くの人権機関はこうした状況を国際人道法の観点から深刻視しており、子どもの保護を最優先とする対応と独立した調査の必要性を訴えてきた。西岸地区と東エルサレムにおける子どもの死傷者数の増加は、長期化する対立の中で最も脆弱な存在が重大な代償を払っている現実を示している。

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