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ホンジュラス環境活動家殺害、前市長ら3人逮捕

ホンジュラスは中南米でも特に環境活動家への暴力が深刻な国の一つとされる。
中米ホンジュラス、首都テグシガルパ(Getty Images/AFP通信)

中米ホンジュラスで環境活動家フアン・ロペス(Juan López)氏の殺害を巡り、当局は12日、北部トコアの前市長であるアダン・フネス(Adán Funes)容疑者ら3人を逮捕したと明らかにした。検察はフネス容疑者らが2024年に発生したロペス氏暗殺の「首謀者」である疑いが強いとしており、長年にわたり汚職や違法採掘を批判してきた環境保護運動に大きな衝撃を与えていた事件は新たな局面を迎えた。

ロペス氏は北部コロン県で進められていた酸化鉄採掘事業に反対していた著名な環境活動家として知られていた。問題となっていた鉱山開発は森林地帯や保護区域に深刻な環境破壊をもたらすとして地域住民や教会関係者の間で反対運動が続いていた。ロペス氏は特に、鉱山開発を支援していたフネス容疑者を批判し、2024年9月には汚職疑惑を理由に辞任を要求していた。

その数日後、ロペス氏は教会施設の外で武装した男に襲撃され、胸部を6発、頭部を1発撃たれて死亡した。事件は国内外で非難を集め、当時のバイデン米政権、国連、ローマ教皇も真相解明を要求した。2016年に発生した著名環境活動家ベルタ・カセレス(Berta Cáceres)氏暗殺事件を想起させるとして、ホンジュラスにおける環境保護活動の危険性が改めて浮き彫りになった。

検察当局は今回、フネス容疑者のほか、地元の実業家を含む2人を逮捕した。3人は犯罪組織への関与と、人権侵害に関わった疑いで訴追されている。地元の環境団体や宗教関係者は以前からフネス容疑者が「黒幕」である指摘。今回の逮捕について「長年求めてきた正義への第一歩だ」と歓迎する声が上がった。裁判は6月に始まる予定である。

ホンジュラスは中南米でも特に環境活動家への暴力が深刻な国の一つとされる。国際NGOグローバル・ウィットネスによると、中南米は世界で最も環境活動家が殺害される地域であり、ホンジュラスでも鉱山開発や森林伐採、土地収奪に反対する活動家への脅迫や殺害が相次いでいる。トコアでも活動家が拘束や襲撃される事例が続いていた。

一方、鉱山事業を運営していた企業側は事業によって雇用創出や地域経済への貢献が実現したと主張している。しかし検察は、関連企業による環境破壊についても捜査を進めており、活動家側は「事件の背後にいるすべての関係者を裁くべきだ」と訴えている。今回の逮捕劇は汚職と暴力が複雑に絡み合うホンジュラス社会の現実を改めて示すものとなった。

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