エベレストでネパール人男性ガイドが滑落死、今シーズン5人目の犠牲者
今年のヒマラヤ登山シーズンにおける死者はこれで5人となり、うち3人がエベレストで命を落とした。
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ネパール当局は12日、世界最高峰エベレスト(標高8848m)でネパール国籍の男性ガイドが滑落死したと発表した。今年のヒマラヤ登山シーズンにおける死者はこれで5人となり、うち3人がエベレストで命を落とした。観光収入への依存度が高いネパールでは、登山シーズンの安全対策が改めて問われている。
死亡したのは21歳のシェルパで、エベレストのキャンプ3付近、標高約7200メートル地点で雪上を移動中に足を滑らせ、クレバスに転落した。当局によると、事故は山頂アタックに向けた準備作業中に発生した。高所での救助活動は困難を極め、救出できなかった。
今シーズンのエベレストでは、すでに複数の死者が出ている。5月初旬には51歳のシェルパがベースキャンプへ向かう途中で死亡し、その後、35歳のシェルパも危険地帯として知られるクンブ氷河での高所順応訓練中に命を落とした。いずれもネパール人登山者であり、登山業界を支えるシェルパたちの危険な労働環境が改めて浮き彫りとなった。
さらに、世界第5位の高峰マカルー(標高8463m)でも事故が続いている。53歳の米国人登山家が雪崩に巻き込まれて死亡したほか、チェコ人登山家も近隣のマカルーIIで死亡した。当局は詳しい事故原因を明らかにしていないが、急激な天候変化や高所特有の過酷な環境が背景にあるとみられている。
それでもエベレスト人気は衰えていない。ネパール政府は今年4〜5月の春季シーズンに492件の登山許可証を発行した。これは2023年の478件を上回る水準であり、世界各地で政情不安や中東情勢の緊迫化による航空路線への影響が出る中でも、多くの登山者がヒマラヤを目指している。許可証1件あたりの料金は1万5000ドルに達し、登山産業はネパール経済を支える重要な外貨獲得源となっている。
一方で、登山者数の増加に伴う「商業化」への懸念も強まっている。ネパール政府は経験不足の登山者による事故や混雑を防ぐため、7000メートル級の登山経験者に限定してエベレスト登山許可を出す新制度を検討している。近年のエベレストでは山頂付近での渋滞や酸素不足による事故が問題化し、安全性向上を求める声が国際的にも高まっていた。
また、今年は4月に巨大な氷塊が崩落した影響で、山頂へ向かうルート整備が約2週間遅れた。ロープ設置作業が停滞したことで、多数の登山隊がベースキャンプで待機を余儀なくされたが、経験豊富なシェルパ隊によるルート確保が進み、今週末にも本格的な山頂アタックが始まる見通しとなっている。天候が安定すれば、今後さらに多くの登山者が山頂を目指すことになる。
