チャド、ICC脱退へ、国連に通知「アフリカ諸国を標的にしている」主張
チャドは2006年にICCに加盟したが、近年は同裁判所に対する不信感を強めていた。
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アフリカ中部・チャド政府は27日、国際刑事裁判所(ICC)から脱退する意思を表明し、国連に通知した。ICCの設立条約であるローマ規程に基づき、脱退は通知から1年後に発効する見通しだ。チャド政府はICCの活動が「限定的かつ不均衡」であり、捜査や訴追の対象がアフリカ諸国に偏っていると主張している。
チャドは2006年にICCに加盟したが、近年は同裁判所に対する不信感を強めていた。政府は声明で、国際司法の理念そのものを否定するものではないとしながらも、現在のICCは公平性と実効性を欠いており、本来の使命を十分に果たしていないとの認識を示した。脱退手続きが完了しても、発効前に開始された捜査や裁判についてはICCの管轄権が維持される。
チャドの決定は、近年相次ぐICC離脱の流れを加速させる可能性がある。2026年にはブルキナファソ、マリ、ニジェールの3カ国が脱退手続きを開始し、さらにベネズエラも先週、脱退を通知した。これらの国々はいずれも、ICCが欧米諸国には厳しい対応を取らず、アフリカやグローバルサウスの国々を標的にしていると批判している。
ICCは2002年に発足し、ジェノサイドや人道に対する罪、戦争犯罪など重大な国際犯罪を裁く常設の国際裁判所として活動してきた。一方で、設立当初から訴追対象の多くがアフリカの指導者や武装勢力関係者だったことから、アフリカ諸国の間では「選択的な司法」との批判が根強い。ICC側は、捜査の多くは加盟国自身や国連安全保障理事会からの付託に基づいており、特定地域を意図的に狙ったものではないと説明している。
ICCは現在、別の課題にも直面している。カーン(Karim Khan)主任検察官が不祥事を巡る問題で解任され、後任選びが進められている。また、トランプ米政権はICCが主権国家に過度に介入していると批判し、制裁や加盟国への外交的圧力を強めている。こうした状況はICCの運営基盤を一段と不安定にしている。
チャドの脱退方針はICCの正統性や国際刑事司法の将来を巡る議論を改めて浮き彫りにした。重大犯罪の処罰を担う国際機関としての役割を維持できるのか、それとも加盟国の離脱が相次ぐことで影響力が低下するのか、今後の動向が注目される。
