◎この奇妙な声明はEUの高官がスペインとアルジェリアの対立に深刻な懸念を表明した数時間後に発表された。
2020年11月25日/モロッコと西サハラの緩衝地帯(Getty Images/AP通信)

アルジェリア政府は10日、スペインとの友好善隣協力条約を停止するつもりはないと発表し、2日前の声明を撤回した。

同政府は20年前に締結したスペインとの友好条約を停止すると発表し、EUの懸念を引き起こした。

同政府は10日の声明で、「欧州のパートナー(スペイン)との友好条約を停止するという8日の発表においては、条約の停止を望む人々と政府に汚名を着せようとする人々の...」と言い訳した。

スペイン政府は発言撤回に関する声明を発表していない

この奇妙な声明はEUの高官がスペインとアルジェリアの対立に深刻な懸念を表明した数時間後に発表された。

欧州委員会はアルジェリア政府の決定に懸念を表明し、「アルジェリアが欧州のパートナー(スペイン)との二国間条約を停止したことについて、アルジェリア政府の事前協議や確認なしに対応を急いだことを遺憾に思う」と述べていた。

両国は西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)をめぐり、対立している。

西サハラはモロッコが領有権を主張する国家で、武装組織「ポリサリオ戦線」の管理下に置かれている。モロッコはこの組織をテロリストとみなしているが、アルジェリアを含むアフリカ連合(AU)の主要国は西サハラの独立を認めている。

アルジェリアは今年3月、スペインが西サハラをモロッコの支配下に置こうとする試みを支持すると表明したことに強く反発し、在スペイン大使を追放した。

欧州委員会の副委員長とボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は10日、「アルジェリアの条約停止はEUとアルジェリアの協定、特に貿易と投資の分野に違反しているように思われる」と声明を発表した。「アルジェリア政府の決定はEU加盟国に対する差別的な扱いにつながり、EUとの関係に悪影響を与える...」

また副委員長とボレル氏は両国に対話を促す一方、「EU加盟国に対する強制的な措置には断固たる対応を取る」と警告した。

スペインのアルバレス(Jose Manuel Albares)外相は10日、EU本部でこの問題について協議していた。

アルバレス氏は協議後、記者団の取材に応じ、「アルジェリアが取った措置はEUとの協定に違反している」と述べたが、「スペインはエスカレーションではなく対話を望んでいる」と表明した。

スペイン政府の最大の懸念は、友好条約停止が天然ガス取引に影響を与えることだったが、同政府によると、今のところそのような事態に発展する兆候はみられないという。

スペインは国内で消費する天然ガスの約23%をアルジェリアから輸入している。

EU加盟国はロシアに代わる天然ガス供給国との交渉を進めており、アルジェリアを最も重要な供給国のひとつとみなしている。

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