マリ治安悪化、身代金がアルカイダ系組織の資金源に=国連
身代金を受け取った中心的な組織はアルカイダ系武装組織「イスラム・ムスリムの支援団(JNIM)」だ。
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国連は2025年にアフリカ西部・マリ共和国でアルカイダ系武装勢力が人質解放の見返りとして受け取った約5000万ドルの身代金が、この地域での軍事攻勢を拡大する重要な資金源になったと指摘している。国連安全保障理事会の制裁委員会に提出された報告書によると、資金の大半はサヘル地域で活動する戦闘員に再配分され、一部はアルカイダ中枢やイエメンの関連組織にも流れたという。
報告書は人質の身元や身代金の支払者を明らかにしていない。一方、ロイター通信は情報筋の話しとして、アラブ首長国連邦(UAE)が支払ったと伝えている。それによると、拘束されていたUAE国民とパキスタン人、イラン人とみられる外国人2人が解放された。UAEは事件の詳細についてコメントしていないが、過激主義やテロに対抗し、過激派への資金供給を断つ取り組みを続けるとしている。
身代金を受け取った中心的な組織はアルカイダ系武装組織「イスラム・ムスリムの支援団(JNIM)」だ。国連によると、JNIMはサヘル地域に7000~8000人の戦闘員を抱え、その半数がマリにいる。マリを拠点にブルキナファソ、ニジェール、さらに南方のベナンやトーゴにも活動範囲を広げている。身代金によって武器や兵站、戦闘員への支払いが可能となり、マリでの攻勢を強化したとみられる。
今回の支払い規模は外国人を対象とする過去の身代金が一般に400万~600万ドル程度とされるのに比べ、突出して大きい。国連は誘拐が武装勢力にとって資金調達手段であるだけでなく、政府の治安能力に対する住民の信頼を低下させる戦略にもなっていると指摘する。実際、JNIMは2026年に入りマリで攻勢を強め、4月にはトゥアレグ系分離主義勢力「アザワド解放戦線(FLA)」と連携して首都バマコなどを攻撃し、国防相が死亡した。
今回の報告は一件の人質事件に伴う身代金が、地域の武装勢力だけでなくアルカイダの活動資金に転化し得ることを示した。サヘル地域でアルカイダ系組織の影響力が拡大する中、身代金をめぐる対応は人質救出だけでなく、テロ組織への資金流入をどう防ぐかという国際的な課題となっている。
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