◎現地メディアによると、バンコクの中心部に集まった抗議者推定1,000人は平和的に行進し、警察当局と対峙する戦法を好む武闘派数百人は別の場所で警察官と衝突したという。
2021年8月7日/タイ、首都バンコク、警察は数百人の抗議者を催涙ガスやゴム弾などで打ち負かした(Nathathida Adireksarn/AP通信)

9月5日、タイの首都バンコクの市街地に集まった抗議者たちは、プラユット・チャンオチャ首相を追放し、政治改革を実現させるために戦い続けると誓った。

現地メディアによると、バンコクの中心部に集まった抗議者推定1,000人は平和的に行進し、警察当局と対峙する戦法を好む武闘派数百人は別の場所で警察官と衝突したという。

平和的なデモを主催した元内閣副大臣のナタワット・サイクア氏は地元メディアの取材に対し、「中心部での抗議は毎晩続く」と宣言した。

一方、コロナウイルス対策の失敗で窮地に立たされているように見えたプラユット首相は、4日に行われた不信任決議投票から無事生還した。プラユット首相は感染拡大が続いているにもかかわらず経済活動の再開に意欲を示し、コロナワクチンの確保に失敗したという野党の追及を却下した。

プラユット政権に対する抗議デモは昨年本格化した。抗議者たちは首相の辞任、民主的な憲法の確立、そして立憲君主制を責任あるものにするという3つの要求を掲げ、全国各地で抗議デモを行った。

しかし、コロナウイルスの感染拡大と王族から恩恵を受けているエリート層の抵抗、デモ主催者の逮捕、そして軍隊の厳しい取り締まりの影響で抗議は勢いを失った。

プラユット首相の人気はワクチン確保問題と汚職の告発を受け急落したと考えられているが、1カ月ほど前に再開した抗議デモに昨年のような勢いはない。しかし、デモに参加した野党関係者や団体は、プラユット首相を追放するために戦い続けると誓った。

この日のデモには市街地の道路を封鎖しながら進む自動車暴徒グループも参加した。グループの構成員の一部は、2006年の軍事クーデターで失脚したタクシン・チナワット首相の支持者も含まれていた。

また、軍と王族の元で働いていた活動家のタナト・タナキタムヌアイ氏もデモに参加したと伝えられている。同氏は先月のデモで警察当局の攻撃を受け、眼に大きなケガを負った。

タイ政府は先週、デルタ株の感染拡大が続いているにも関わらず規則を緩和し、ショッピングモール、レストラン、学校の再開を許可した。

タイの新規陽性者は8月中旬のピーク時に比べると少なくなったが、それでも9月4日の陽性者は15,942人だった。死亡者は高止まりしており、4日は257人、直近7日間の平均は1日あたり250人。

累計感染者数は約127万件、累計死亡者は12,000人を超えた。なお、累計症例の約98%と累計死亡の約99%が今年の6月中頃から始まった第3波以降に確認された。

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