◎ラジャパクサ大統領は先週末に辞意を表明していた。
スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(Getty Images/AFP通信)

スリランカの現地メディアは12日、ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領が国外に逃亡したと一斉に報じた。

報道によると、ラジャパクサ氏は家族と一緒に軍用機で逃亡したという。行き先は明らかにされていないが、CNNニュースなどは米国に向かったと報じている。

ラジャパクサ氏はデモ隊が大統領公邸や政府庁舎を占領する前に避難し、どこかに身を隠していた。

報道によると、バジル・ラジャパクサ(Basil Rajapaksa)前財務大臣も出国したという。

ラジャパクサ氏とウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は先週末に辞意を表明していた。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。

デモ隊はラジャパクサ一族が独立以来最悪の経済危機を引き起こしたと非難し、辞任を要求していた。一部の活動家グループは一族が不正に手を染めていたと主張しているが、事実かどうかは不明。

スリランカの憲法によると、現職の大統領は免責特権を与えられている。ラジャパクサ氏は新政権発足後に逮捕されると考え、国外に逃亡したとみられる。

現職大統領の逃亡は、破綻国家の立て直しを図る取り組みに悪影響を与える可能性が高い。政府はすでに機能しておらず、政治空白の長期化は避けられそうにない。

野党党首らは連立政権発足に向けた協議を進めているが、報道によると、合意には時間がかかるとみられる。またデモ隊が野党の提案を受け入れるかどうかも定かではない。

大統領と首相が辞任した場合、議会議長のアベイワデナ(Mahinda Abeywardana)氏が暫定大統領に就任する。

ウィクラマシンハ氏は先週末に辞意を表明したが、辞任する時期は明らかにしていない。同氏の私邸と首相公邸はデモ隊に焼き払われている。

地元メディアによると、暫定大統領に就任する可能性が高いアベイワデナ氏はラジャパクサ氏とつながりが深く、デモ隊が就任を受け入れる可能性は低い。

大統領公邸を占領したデモ隊は「ラジャパクサ氏が辞任するまで居座る」と主張している。

暫定大統領は就任後30日以内に国会議員の中から新大統領を選ぶ選挙を実施しなければならない。その勝者は2024年後半までラジャパクサ氏の後任として任期を全うする。

2022年7月10日/スリランカ、首都コロンボの大統領公邸に入居した人々(Eranga Jayawardena/AP通信)
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