◎政府は今週、生コンを輸送するトラック運転手約2500人に職場復帰命令を出した。
2022年12月3日/韓国、首都ソウルの国会前、政府の労働政策に反対するデモ(Ahn Young-joon/AP通信)

韓国の首都ソウルで3日、トラック運転手のストライキを強制終了し仕事に戻す政府の労働政策に反対する集会が開かれ、数千人が参加した。

地元メディアによると、国会前に集まったデモ隊は尹淑烈(Yoon Suk Yeol)大統領に謝罪と労働政策の見直しを求めたという。

市内のトラック労組の幹部はAP通信の取材に対し、「政府は国の経済を担っているトラック運転手の厳しい労働条件、財政難、燃料費の上昇がもたらす苦難を理解していない」と語った。

政府は今週、生コンを輸送するトラック運転手約2500人に職場復帰命令を出した。

地元メディアによると、命令後に職場復帰したトラック運転手の数は不明だという。

一方、貨物トラックの労組に加盟する組合員数千人は先週から、年内に期限切れを迎える最低運賃制度を恒久化するよう政府に求め、ストを続けている。

現在の最低運賃は輸送用コンテナと生コンに適用されているが、労組はその範囲を他の貨物にも拡大するよう求めている。報道によると、労組は政府機関との交渉で石油、鉄鋼、自動車、宅配便トラックなどもこれに含めるよう求めたという。

国土交通省によると、港湾のコンテナ輸送量は今週初めに20%程度にまで落ち込んだものの、3日には81%まで回復した。

3日の国会前デモにはトラック運転手5000人以上が参加したと伝えられている。

政府の命令は2004年に改正された法律に基き、職場復帰を強制できる。この行政命令を行使したのは今回が初めて。

正当な理由なく従わなかった場合、3年以下の懲役または罰金3000万ウォン(約310万円)を科される可能性がある。

活動家たちはこの法律を「人権侵害」と批判している。この法律は認められるストの条件を明確に定義しておらず、命令を出すか否かは政府の判断次第であり、その気になればあらゆるストを阻止できる。

当局は生コンの出荷遅れで建設業界が大打撃を受けているとして、生コントラック運転手に職場復帰命令を出した。

さらに第2段階の措置として、その対象をガソリンなどの燃料を輸送する運転手にも拡大する可能性があるとしている。

ストの影響は今のところ国内産業に限られており、半導体などの輸出に遅れが生じたという報告はない。

政府機関は労組に最低運賃を3年間延長すると提案したが、その適用範囲を広げるという要求には難色を示している。

労組は「最低運賃制度は運転手の生活を守る最低限の措置であり、これがなければ多くの運転手の生活が成り立たず、生活を維持するために無理やり配送数を増やし、危険な運転をせざるを得なくなる」と主張している。

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