SHARE:

インドネシア・パプアの反政府ゲリラが車列襲撃、8人殺害

国軍は襲撃を実行した組織について、「西パプア民族解放軍(TPNPB)」系のゲリラ組織と説明している。
インドネシア、パプア州、西パプア民族解放軍(TPNPB)の戦闘員(Getty Images)

インドネシア軍は21日、東部パプア州で武装集団による襲撃が発生し、少なくとも8人が死亡したと発表した。それによると、犠牲者の多くは建設や物流関連の作業員で、反政府勢力が山間部で車列を襲撃したという。事件はパプア州の遠隔地で発生し、治安部隊が掃討作戦を進めている。パプアでは独立を求める反政府勢力と国軍との衝突が長年続いており、民間人を巻き込む暴力事件が増加している。

国軍は襲撃を実行した組織について、「西パプア民族解放軍(TPNPB)」系のゲリラ組織と説明している。地元当局によると、武装集団は道路建設や資源開発に関わる作業員を「政府の協力者」とみなし、以前から攻撃対象としてきた。今回も銃器や刃物を使用したとみられ、複数の車両が焼き払われたという。軍はヘリコプターを使って負傷者を避難させる一方、周辺住民に対して外出を控えるよう呼びかけている。

パプアでは1969年、国連監督下で実施された住民投票を経てインドネシアへ編入されたが、その正当性を巡る反発は現在も根強い。反体制派は「住民の意思が反映されなかった」と主張し、それ以来、低強度の武装闘争を継続してきた。一方、インドネシア政府はパプアを国家統一の不可欠な一部と位置づけ、大規模なインフラ整備や軍配備を進めている。しかし、道路建設や鉱山開発が進むほど、独立派との摩擦も激化している。

近年のパプア情勢では、民間人被害が深刻な問題となっている。今年4月には、軍による掃討作戦で女性や子どもを含む少なくとも12人の民間人が死亡したとして、国家人権委員会が調査に乗り出した。軍側は反政府勢力との戦闘だったと説明しているが、人権団体は「過剰な武力行使」だと批判している。今回の襲撃を受けて、地元住民の間では軍の増派によって暴力の連鎖がさらに拡大するとの懸念が広がっている。

パプアでは情報統制の問題も指摘されている。外国メディアや国際機関の立ち入りが制限されることが多く、現地の実情を外部から把握しにくい。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは最近、インドネシア当局がオンライン上で活動家や記者への中傷キャンペーンを展開していると批判した。政府側は否定しているものの、パプア問題を巡る情報戦は激しさを増している。

プラボウォ政権は今月、防衛力強化を掲げてフランス製戦闘機ラファールの追加導入を進めるなど、軍備増強を加速させている。だが、パプアでは軍事的対応だけでは問題解決につながらないとの声も強い。独立要求、貧困、民族差別、人権侵害が複雑に絡み合う中、今回の襲撃事件はパプア紛争の根深さを改めて浮き彫りにした。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします