◎西パプア州とパプア州では半世紀以上紛争が続いており、解決の見通しはまったく立っていない。
西パプア民族解放軍(TPNPB)の傭兵と拘束されたNZ市民(中央)(BBC News Indonesia)

インドネシアの西パプア州に拠点を置く「西パプア民族解放軍(TPNPB)」が14日、先週人質に取ったニュージーランド人パイロットの映像を公開した。

この男性パイロットは先週、西パプア州の隣の地域に小型機で物資を運ぶ途中、拘束された。男性は地元の航空会社スシ・エアーのパイロットと伝えられている。

BBCニュース・インドネシアによると、TPNPBは同局にビデオを送ってきたという。映像には拉致された男性と武装した男たちの姿が映っていた。

TPNPBは犯行声明の中で、インドネシア政府が西パプア州の独立を認めなければ、男性を処刑すると警告している。

インドネシア政府は西パプア州とパプア州に多くのジャワ人を移住させ、経済開発を進めている。

インドネシア領パプア(旧オランダ領)はインドネシア本島とは民族的・文化的に大きく異なる。パプアは1961年にオランダから独立したものの、2年後にインドネシアの支配下に置かれた。

インドネシア政府は国連が主導した1969年の投票でパプアを編入。それ以来、西パプア州とパプア州では半世紀以上紛争が続いており、解決の見通しはまったく立っていない。

TPNPBや反政府ゲリラ「自由パプア運動(OPM)」などはパプアの分離独立を目指している。

ビデオに登場した傭兵たちは武装し、そのうち1人は拉致した男性に向けて矢を射る姿勢を取っている。

リーダー格とみられる男はカメラに向かって政府に交渉に応じるよう要求した。

BBCによると、リーダー格とみられる男の身元は不明。TPNPBの幹部とみられる。

拉致された男性もTPNPBが用意したとみられる声明文を読み、要求に応じるよう求めた。

NZ政府によると、男性は37歳。小型機に同乗していた幼い子供を含むパプア人5人は解放された。

便は7日にパプアの空港を出発し、乗客と物資を降ろして戻る予定だった。

しかし、BBCによると、便は着陸直後にTPNPBの急襲を受け、その後、焼き払われたという。

TPNPBは声明の中で、「インドネシア政府と軍事的につながりのある国の市民は取り締まりの対象になる」と主張している。

パプアの反政府勢力は誘拐や脅迫を多用し、首都ジャカルタなどからこの地域に人や物資を運ぶ航空機を標的にしたこともある。

地元メディアによると、反政府ゲリラの攻撃は2018年頃から急増している。

昨年3月にはOPMの戦闘員とみられる男たちが通信塔を修理していた技術者8人を射殺。2018年12月には建設作業員と兵士少なくとも31人が殺害された。

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