◎カイバル・パクトゥンクワ州では今年、少なくとも11人の警察官がポリオ予防接種の警備中に死亡している。
2021年10月5日/パキスタン、北西部ペシャワル、ポリオワクチン接種キャンペーンの医療従事者と警察官(Muhammad Sajjad/AP通信)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でポリオ予防接種の警備に当たっていた警察官が銃撃され、死亡した。地元警察が3日、明らかにした。

カイバル・パクトゥンクワ州では今年、少なくとも11人の警察官がポリオ予防接種の警備中に死亡している。

警察によると、事件は州都ペシャワルの住宅地で3日午前に発生。正体不明の武装集団が医療従事者に向けて発砲し、銃撃戦になったという。

この銃撃戦で警察官1人と襲撃者1人が死亡。残りの襲撃者は逃走した。

地元メディアによると、犯行声明を出した組織は確認されていない。

パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンのポリオワクチンキャンペーンは定期的に暴力に見舞われている。

カイバル・パクトゥンクワ州のリスクの高い9地区では3日からワクチンキャンペーンが始まった。対象は危険度の高いペシャワルの一部地域など。

医療従事者は5歳以下の約328万人に経口生ワクチンを接種する。報道によると、2万6000人以上の警察官が医療従事者の警備に当たっているという。

ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。

スポンサーリンク