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ネパール最強登山ガイド、32回目のエベレスト登頂、ギネス記録更新

カミ・リタさんは現地時間午前10時12分ごろ、登山隊を率いて山頂に到達した。
ネパールの登山ガイド(シェルパ)カミ・リタ・シェルパさん(Getty Images)

ネパールの著名な登山ガイド(シェルパ)であるカミ・リタ・シェルパ(Kami Rita Sherpa)さんが17日、32回目のエベレスト登頂に成功し、自身が持つギネス記録を更新した。ロイター通信によると、カミ・リタさんは現地時間午前10時12分ごろ、登山隊を率いて山頂に到達した。今回の登頂はネパールの登山史に新たな記録を刻む出来事として国内外で大きな注目を集めている。

カミ・リタさんはヒマラヤ山脈の麓に位置する集落の出身である。この村は1953年にエドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿とともに人類初のエベレスト登頂を果たしたテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgay)氏の故郷としても知られる。父親も登山ガイドであり、幼いころから高地での生活に親しんできた。1994年に初めてエベレスト登頂を果たして以来、ほぼ毎年のように山頂に立ち続けている。

エベレスト登山は世界中の登山家にとって究極の挑戦とされるが、その裏ではシェルパたちの存在が欠かせない。シェルパは登山客の荷物運搬、ルート設営、酸素ボンベの運搬など危険な任務を担っている。特にベースキャンプ上部に位置する「クンブ氷河」は巨大な氷塊が絶えず動く危険地帯で、多くの事故が発生してきた。カミ・リタさんは30年以上にわたり、そうした過酷な環境で活動を続けてきた。

今年の春季登山シーズンでは、ネパール政府が492件のエベレスト登山許可を発行しており、依然として高い人気を維持している。一方で、近年は気候変動による氷河の融解や落石リスクの増加が問題視されている。さらに、ヒマラヤ地域では今シーズン、複数の死亡事故が発生し、エベレストの危険性も改めて浮き彫りになっている。ロイターによると、5月中旬までにネパール国内の山岳地帯で少なくとも5人の登山者が死亡した。

今回の記録更新と同時に、女性登山家のラクパ・シェルパ(Lhakpa Sherpa)さんも11回目のエベレスト登頂に成功し、自らが持つ女性最多登頂記録を更新した。

カミ・リタさんはこれまで、エベレスト以外にもK2やマナスルなど8000メートル級の山々への登頂を重ねてきた。累計の8000メートル峰登頂回数は40回を超え、「エベレスト・マン」とも呼ばれている。本人は過去のインタビューで、「これは自分だけの記録ではなく、シェルパ民族とネパールの誇りだ」と語っていた。

エベレスト登山はネパール経済にとって重要な観光資源でもある。観光収入や遠征隊関連ビジネスは山岳地域の住民生活を支えており、多くの若者がシェルパとして働いている。今回の快挙は世界の登山界におけるネパール人シェルパの卓越した技術と経験を改めて示す象徴的な出来事となった。

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