ネパール大洪水、シャー政権に圧力、政治混乱に続き復興の難題
政府当局による暫定的な被害額は25億6000万ドルに上り、今年度の国家予算約140億ドルの約5分の1に相当する。
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ネパールとチベットの国境付近で8月末に発生した大規模な洪水・土砂崩れが、今年3月に発足したネパールのシャー政権に圧力をかけている。
山岳地帯や河川流域では集落がのみ込まれ、道路や橋が流失した。これまでに約7500戸の住宅が全壊し、さらに2万戸の再建が必要となったほか、少なくとも12カ所の水力発電施設が被害を受けた。
政府当局による暫定的な被害額は25億6000万ドルに上り、今年度の国家予算約140億ドルの約5分の1に相当する。
今回の災害は、政治的混乱から立ち直ろうとしていたネパールにとって新たな試練となっている。昨年9月には、汚職やSNS規制に反発する若者主導の抗議活動が暴動に発展し、治安部隊がデモ隊に発砲して多数の死者が出た。
政府庁舎や政治家の住宅も放火され、当時のオリ(Khadga Prasad Oli)首相が辞任する事態に発展した。その後の政治的空白を経て、元カトマンズ市長で政治的アウトサイダーだったバレンドラ・シャー(Balendra Shah、36歳)氏が3月に首相に就任した。
シャー政権は既存の政治体制を刷新することを期待されて発足した。しかし、政権発足から間もなく、災害対応と大規模な復興という別の課題に直面した。政府は軍や警察、ヘリコプター、医療チームを動員し、地方当局と連携して避難や救援を進めている。数千人が救助された一方、道路の寸断や土砂で埋まった水力発電施設、専門機材や熟練人材の不足が遠隔地への支援を妨げている。
復興にはさらに大きな財政負担が予想される。被害額はまだ確定していないが、復旧費用は40億~50億ドルに達するとの試算もある。観光業も打撃を受ける可能性が高く、観光客に依存する地域では、今回の洪水が長期的な収入減につながる懸念がある。また、被災した水力発電は国内発電量の1割を占め、建設中の施設を含めれば発電能力の約2割に関係する重要地域でもある。
背景には、気候変動によって極端な気象現象への対応を迫られているネパールの脆弱性もある。今回の洪水と気候変動の直接的な因果関係については科学的な検証が続いているものの、今後は早期警戒システムの強化や、道路、住宅、水力発電施設の建設場所そのものを見直す必要性が指摘されている。
政府は国連などに国際支援を求めており、単なる救援だけでなく、災害に強いインフラを再構築するための長期的な支援が不可欠となっている。
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