◎軍の管理下に置かれている国営放送ミャンマーラジオTV局(MRTV)は8日、軍事政権が5つの地元メディアの放送ライセンスを停止したと発表した。
◎アメリカ、EU、イギリス、カナダの外交使節団は、最大の都市ヤンゴンのサンチャウン地区に閉じ込められた人々の安全を保証するよう治安部隊に促す声明を発表した。特定の進行中の事件に対して今回のような外交声明(市民の安全の保証)が出されることは異例である。
2021年3月8日/ミャンマー、ヤンゴン、治安部隊(EPA通信)

3月8日深夜、最大の都市ヤンゴンに集まった大勢の市民は軍事政権の夜間外出禁止令を無視して抗議活動を続けた。

参加した市民のひとりは地元メディアの取材に対し、「サンチャウン地区(ヤンゴン)で拘束された人々を支援するために集まりました」と述べた。

治安部隊は3月7日に約200人の学生グループを同地区で拘束したと伝えられている

一方、軍の管理下に置かれている国営放送ミャンマーラジオTV局(MRTV)は8日、軍事政権が5つの地元メディアの放送ライセンスを停止したと発表した。

言論統制に直面したメディアは「ミジマニュース、ビルマ民主の声(DVB)、Khit Thit Media、ミャンマーナウ、7DayNews」の5社。

MRTVは放送の中で、「これらのメディア企業は、あらゆる種類のメディアプラットフォームの使用、メディアテクノロジーの使用、情報の放送、書き込み、または提供することを禁じられました」と述べた。

5社はライブストリーミングで抗議の様子を伝えていた。ミャンマーナウの事務者は7日に治安部隊の襲撃を受けている。

DVBの事務局長、エイ・チャン・ナイン氏はAP通信の取材に対し、「ライセンス停止は想定内、衛星テレビとソーシャルメディアで放送を続けます」と述べた。

「私たちは記者とスタッフの安全を心配しています。しかし、今、抗議している市民は全員ジャーナリストになっています。軍は情報の拡散を止められません」

治安部隊はミャンマーナウやAP通信のジャーナリストなどを数十人拘束し、最高3年の懲役刑を科すと脅迫している。

8日深夜の抗議活動は、治安部隊がヤンゴンのサンチャウン地区を封鎖した直後に始まった。伝えられるところによると、治安部隊は近隣住民の自宅に避難したと思われる抗議者たちを探し回っているという。

深夜の抗議活動で追い詰められた人々の窮状はソーシャルメディアで急速に広まり、サンチャウン地区以外に集まった市民は大声を上げて治安部隊の注意を引きつけ、追い詰められた人々を援護した。

インセイン地区に集まった市民は幹線道路のジャンクションを封鎖し、民主化のスローガンを唱えた。

2021年3月8日/ミャンマー、ヤンゴン、撤退する抗議者たち(AP通信)

アメリカ、EU、イギリス、カナダの外交使節団は、サンチャウン地区に閉じ込められた人々の安全を保証するよう治安部隊に促す声明を発表した。特定の進行中の事件に対して今回のような外交声明(市民の安全の保証)が出されることは異例である。

米国大使館は声明で、「ヤンゴンのサンチャウン地区のキュンタウロード周辺で緊張が高まっています。私たちは治安部隊の撤退と、集まった市民の安全を守るよう要求します」と述べた。

治安部隊は住居内から通りの様子を見ていた市民に嫌がらせをし、スタングレネードや催涙ガス弾などを発射したが、大きな衝突は報告されていない。なお、一部の抗議者がゴム弾で負傷したと伝えられている。

国連のステファン・デュジャリック報道官は声明で、「グテーレス事務総長はサンチャウン地区で平和的に抗議していた女性たちの即時の解放を要求します(国際女性デーを記念する抗議)」と述べた。

「事務総長は最大限の抑制を求め、すべての人々を安全に解放するよう求めています。集会の自由と平和的な抗議の権利を尊重しなければなりません」

またデュジャリック報道官は、治安部隊による国内の公立病院の占領は「完全に容認できない」と述べた。

地元メディアによると、治安部隊は8日に北部で行われた抗議活動で2人を射殺したという。また、ヤンゴンの南約120kmに位置するピャーポンでも市民が1人射殺されたと伝えられている。

国連高等弁護官事務所は、軍事政権の暴力的な取り締まりによる死者数は50人を超えたと報告している。

一方、ミャンマーの民族グループのひとつ、カレン民族同盟(KNU)の警察部隊は、軍事政権による残忍な取り締まりから抗議者を守る行動を開始した。

部隊はミャンマー南東部のタニンダーリ地域で約2,000人の抗議者を警護するために、8日の夜明け直後に現地入りした。隊員たちはアサルトライフルなどを装備し、緊急事態に備えていた。

カレン民族警察は中央政府の抑圧に何十年にも渡って立ち向かってきたKNUの管理下に置かれている。KNUは政治的手段と軍事的手段を両方使い、目的を達成するためなら武力行使も辞さない姿勢を示している

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