◎国内の逮捕者と死者を調査している政治犯支援協会(AAPP)によると、文書化されていない事件は追跡できないため、実際の死者数は300人をはるかに上回っている可能性があるという。
2021年3月26日/ミャンマー、ヤンゴンの抗議者たち(AP通信)

3月26日、ミャンマーの地元メディアは、一連の抗議活動で治安部隊に殺害された市民の数は300人を超えたと報じた。

国内の逮捕者と死者を調査している政治犯支援協会(AAPP)によると、文書化されていない事件は追跡できないため、実際の死者数は300人をはるかに上回っている可能性があるという。

ソーシャルメディアで情報を発信しているミャンマーナウは、25日に11人の死亡を新たに確認したと報じた。また、ビルマ民主の声(DVB)やミズマTVなどは、26日に南部ミエイク市で3人が射殺されたと報じている。ミズマTVがユーチューブチャンネルに投稿した動画には、銃撃を受け血まみれになった若者を危険地帯から救出する様子が映っていた。

AAPPは25日に東部シャン州のタウンジーで発生した厳しい取り締まりについて報告している。「治安部隊は住宅地のど真ん中に戦闘地帯を作り、市民4人を射殺し、1人の遺体を強奪しました。負傷者も複数出ています」

「さらに、軍は民家を襲撃し、若者や女性を暴行したのち拘束し、市民の財産(オートバイや車など)を手当たり次第に破壊しています。彼らは数百メートル先にいる抗議者には目もくれず、目の前の民家や財産を効率的に破壊しました」

ミャンマー国営放送(MRTV)は26日夜の放送で、暴力的な抗議の最前線に立ち、頭や背中を撃たれた若者たちから教訓を学ぶよう警告した。犠牲者の多くは頭を撃たれており、地元メディアは警告を脅迫と見なし非難した

AAPPによると、25日の時点でアウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)のウィンミン大統領を含む2,981人が逮捕、起訴、または秘密裁判で有罪判決を受けたという。スーチー氏とウィンミン大統領は2月1日の軍事クーデター以来公の場に姿を見せていない。

一方、MRTVは26日の放送の中で、「インセイン刑務所は公序良俗に違反した罪で起訴された市民322人を釈放した」と報じた。インセイン刑務所は24日にも600人以上を釈放している。

3月25日、アメリカとイギリスはミャンマー国内で強大な権力を保有する複合企業に新たな制裁を科し、軍事政権への圧力を強化した。これにより、ミャンマー経済公社(MEC)とミャンマー経済ホールディングス(MEHL)はアメリカ国内の資産を凍結され、米市民および企業との取引を禁止された。イギリスはMEHLに同様の制裁を科している。

ミャンマーの経済は、昨年後半に急拡大したコロナの影響で深刻なダメージを受けている。

世界銀行は26日に発表した報告の中で、ミャンマーの2021年の経済成長率をマイナス10%と予測した。なお、2019年の経済成長率は前年比プラス6.8%、2020年はプラス1.7%だった。

一方、医師や教育関係者などが設立した市民的不服従運動(CDM)は、最前線で平和的に抗議するだけでなく負傷者の治療やサポートを行っていることを評価され、2022年のノーベル平和賞候補にノミネートされた

CDMは書簡の中で、「私たちの使命は、非暴力的な手段で平和と民主主義のために働くことです」と述べた。

CDMの活動を高く評価したオスロ大学のクリスチャン・ストッケ教授ら6人はAP通信の取材に対し、「ノーベル平和賞のノミネートはミャンマーの民主化に向けた平和的な運動を後押しし、さらなる国際的な認識と支持を生み出すだろう」と述べた。

アウンサンスーチー氏は軍事独裁政権に対する非暴力抗議を主導し、1991年にノーベル平和賞を受賞している。

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