ゼレンスキー氏「北欧およびバルト諸国とドローン技術を共有する用意ある」
ゼレンスキー氏は記者会見で、ウクライナが実戦で蓄積してきたドローン運用の経験は欧州全体にとって重要な資産であると強調した。
と北欧およびバルト諸国の首脳(AP通信).jpg)
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は9日、エストニアの首都タリンで開かれたウクライナ・北欧・バルト首脳会議に出席し、ウクライナが戦争を通じて培ったドローン技術を北欧およびバルト諸国と共有する用意があると表明した。ロシアとの戦争で急速に発展した無人機技術や迎撃システムを地域の防衛力強化に活用してもらうことが狙いであり、欧州の安全保障協力が新たな段階に入る可能性を示した形だ。
ゼレンスキー氏は記者会見で、ウクライナが実戦で蓄積してきたドローン運用の経験は欧州全体にとって重要な資産であると強調した。特に近年は比較的安価なドローンによる攻撃が戦場の様相を大きく変え、従来の高価な防空システムだけでは十分な対応が難しくなっている。ウクライナはこうした脅威に対抗するため、低コストの迎撃ドローンや電子戦技術を開発しており、これらを同盟国と共有したい考えを示した。
背景には、今年に入ってバルト地域で相次いだドローンの越境事案がある。ウクライナがロシア国内の軍事・エネルギー施設を攻撃する際に使用した長距離ドローンの一部が、ロシア側の電子妨害によって進路を外れ、エストニアやラトビア、リトアニアの領空に入り込むケースが発生した。5月にはエストニア上空でウクライナのドローンがNATO加盟国の戦闘機によって撃墜される事態も起きている。ウクライナはこれらの事案について、ロシアによるGPS妨害や電子戦が原因だと説明している。
会議では、ドローン対策を含む地域防衛体制の強化が主要議題となった。エストニアのカリス(Alar Karis)大統領はNATO戦闘機を出動させてドローンを迎撃する方法はコストが高く、より効率的な対策が必要だと指摘した。その上で、実戦経験を持つウクライナとの技術協力に期待を示した。
ゼレンスキー氏はラトビアと新たなドローン協力協定を締結したことも明らかにした。詳細は公表されていないものの、共同生産や技術開発が含まれるとみられている。ラトビアはウクライナのドローン協力構想に参加する6カ国となり、さらに20カ国が関心を示しているという。フィンランドとも同様の協定締結に向けた協議が進められている。
ロシアによる攻撃が続く中、ウクライナは防衛支援を受ける立場から、防衛技術を提供する立場へと変化しつつある。ゼレンスキー氏はウクライナで開発されたドローン技術が欧州全体の防空能力向上に貢献できると訴えた。戦場で磨かれた無人機技術を共有する今回の提案は、ロシアの脅威に直面する北欧・バルト地域との結び付きを一層強化するとともに、欧州防衛の新たなモデルとして注目を集めている。
