◎5月3日の新規陽性者数は357,229件、死亡者は3,449人、過去7日間の新規症例数は250万件以上。
2021年5月1日/インド、首都ニューデリーの火葬場(AP通信/Amit Sharma)

インドの保健当局によると、国内のコロナウイルス感染者と死亡者は減少傾向にあるという。

インドの累計感染者数は5月4日に2,000万件を超え、過去3カ月でほぼ2倍になり、累計死亡者数は22万人を超えた。3日の新規陽性者数は357,229件、死亡者は3,449人、過去7日間の新規症例数は250万件以上。

インドの感染者数は2月末頃から急増し、先月爆発した。野党、専門家、そして市民は、感染力の強い変異種を放置し、州選挙を優先し、数百万人が集まるヒンドゥー教の宗教祭を強行したナレンドラ・モディ首相を厳しく非難している。

専門家たちは、「インドの感染者数と死亡者数は過少報告されている」と指摘した。

首都ニューデリーの医療体制は改善の兆しを見せておらず、一部の感染者は路上で治療を受けている。

ラジェス・ブーシャン連邦保健大臣は先月、当局の医療体制が整っていなかった理由を記者に尋ねられたが、回答を拒否した。医療機関のベッドと酸素は明らかに不足しており、重症者は死にかけている。

米ブラウン大学のアシシュ・ジャー博士はAP通信の取材に対し、「インドの政府当局者たちは今後数日で事態は改善すると楽観的に考えています」と懸念を示した。「政府は正しい情報を発信しなければなりません。医療の専門家は政府に助言すべきです。今のままでは事態は決して改善しません。そして、第二波は第一波よりはるかに長引く可能性があります」

ジャー博士は基本的な公衆衛生対策に焦点を当てる必要があると強調した。「的を絞ったロックダウン、検査体制の強化、大勢が集まる選挙集会やイベントの禁止、そしてマスクの着用徹底。まずは基本的な公衆衛生対策を徹底することが重要です。皆がマスクを着用し社会的距離を確保すれば、感染者数は間違いなく減少します」

首都ニューデリーの5月2日の感染者と死亡者を調査した現地メディアによると、その日の死亡者数は1,680人だったが、州政府の公式発表数は407人だったという。

2021年5月1日/インド、首都ニューデリーの病院(ゲッティイメージズ/ロイター通信)

ニューデリーの高等裁判所は3日、病院に割り当てられた医療用酸素の供給が改善されない場合、政府当局者を罰すると発表した。

今回の感染爆発はインドの医療制度の脆弱性を反映している。しかし、モディ首相率いるインド人民党(BJP)は、「感染拡大は慢性的な資金不足が原因であり、野党が指揮を執っても事態は改善しない」と批判に抵抗した。

インド科学教育研究所のヴィネタ・バル博士は過去数カ月間の政府の怠慢を厳しく非難した。「検査体制を強化する時間は十分にありました。しかし、政府は何もせず、州選挙に没頭していました」

医療当局は失われた時間を取り戻すために奮闘している。各州の病院には簡易ベッドが運び込まれ、検査体制はようやく強化され、液体酸素とガスシリンダーの輸送も本格化し、コロナに有効と考えられている薬の製造も拡大した。

一方、州議会選挙を行った州ではマスク未着用の群衆が押し寄せた影響で感染に歯止めがかからない状況が続いている。西ベンガル州の1日の平均症例数は、投票が始まった3月末から30倍以上に増加した。

<西ベンガル州の議会選挙>
・第1回投票:3月27日(南西部地域)
・第2回投票:4月1日(南部と南西部地域)
・第3回投票:4月6日(コルカタ市近郊他)
・第4回投票:4月10日(コルカタ市近郊他)
・第5回投票:4月17日(北部と中東部地域)
・第6回投票:4月22日(北部と中東部地域)
・第7回投票:4月26日(コルカタ市南部他)
・第8回投票:4月29日(コルカタ市北部他)

西ベンガル医師フォーラムのプニャブラタ・グーン博士はAP通信の取材に対し、「州は危機に直面しています」と述べた。「感染者数は連日17,000件を超えています。ワクチン接種を加速させなければなりません...」

政府のデータによると、最悪の被害を受けたマハーラーシュトラ州、北部のパンジャーブ州とウッタル・プラデーシュ州の感染者数は減少傾向にあるという。

しかし、保健省の専門家は、「感染者の減少はごくわずかであり、州および地区単位のロックダウンを確実に維持しなければならない」と強調した。「医師の診察を受けずに自宅や路上で死亡するケースが各地で報告されており、実際の感染率と死亡率が公式の数字よりはるかに高いことは間違いありません。火葬場に運び込まれる遺体の数も公式報告とほとんど一致しません。特に人口2億人以上のウッタルプラデーシュ州の検査数は極めて少なく、連邦政府と州政府は医療体制と検査体制を速やかに強化しなければなりません...」

インドのワクチン接種は思うように進んでおらず、4月末時点で1回接種を終えた人は人口の約9%、接種を終えた人は約2%にとどまっている。

世界最大のワクチンメーカーであるセラム・インスティチュート・オブ・インディアのアダール・プーナワラCEOは先日、ワクチン不足は数ヶ月続くと警告した。

<ワクチン接種数/少なくとも1回接種した人の割合/5月4日時点
アメリカ:2億4,600万回/44%
中国:2億7,500万回/12%
インド:1億5,400万回/9%
イギリス:5,000万回/51%
ブラジル:4,300万回/14%
ドイツ:3,000万回/28%
トルコ:2,300万回/16%
ロシア:2,000万回/9%
イスラエル:1,000万回/62%
日本:350万回/2%

世界:10億1,600万回/8%
アジア:5億5,100万回/4%
北米:2億8,300万回/30%
ヨーロッパ:2億3,000万回/22%
EU:1億5,000万回/25%
南米:7,700万回/12%
アフリカ1,800万回/1%

<インドの新規陽性者と死亡者>
2月1日:8,635件/94人
2月8日:9,110件/78人
2月15日:9,121件/81人
2月22日:10,584件/78人
3月1日:12,286件/91人
3月8日:15,388件/77人
3月15日:24,492件/131人
3月22日:40,715件/199人
3月29日:56,211件/271人
4月1日:81,466件/469人
4月8日:131,968件/780人
4月15日:217,353件/1,185人
4月18日:273,802件/1,619人
4月20日:295,158件/2,023人
4月21日:314,644件/2,104人
4月22日:332,921件/2,263人
4月23日:346,786件/2,624人
4月24日:349,691件/2,767人
4月25日:352,991件/2,812人
4月26日:323,023件/2,771人
4月27日:362,757件/3,293人
4月28日:379,257件/3,645人
4月29日:386,555件/3,498人
4月30日:401,993件/3,523人
5月1日:392,488件/3,689人
5月2日:368,060件/3,417人
5月3日:357,229件/3,449人

2021年5月1日/インド、首都ニューデリーの火葬場、遺体を運ぶ職員(AP通信/Amit Sharma)
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