IMF・世界銀行、サイバー詐欺対策の「バンコク・ブループリント」発表、国際連携を強化
新たな枠組みは政府、規制当局、金融機関、技術関連企業などが連携し、詐欺の予防や検知、被害への対応を強化することを重視する。
のゲオルギエワ専務理事(ロイター通信).jpg)
国際通貨基金(IMF)と世界銀行は14日、オンライン詐欺やサイバー犯罪に対抗するための国際的な枠組み「バンコク・ブループリント」を発表した。タイ中央銀行との協力で策定されたもので、デジタル金融を悪用した詐欺の被害拡大を防ぎ、金融システムへの信頼を維持することを目指す。発表はタイの首都バンコクで開催されたIMF・世銀の年次総会に合わせて行われた。
タイのニティタナプラパス(Ekniti Nitithanprapas)財務相は声明で、オンライン詐欺による世界経済の損失は年間約1兆ドルに達し、世界の国内総生産(GDP)の約3%に相当すると指摘した。国境を越えて活動する犯罪組織は手口を急速に変化させており、各国の法執行機関や金融機関が個別に対処するだけでは、被害を抑えることが難しくなっている。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、アジア太平洋地域では2025年、詐欺集団によって少なくとも880億ドルの被害が発生した。タイ中銀は2024年の世界の詐欺被害の67%をアジアが占めたと説明している。オンライン上の投資詐欺や偽の金融サービスなどが広がり、個人だけでなく企業や金融機関にも深刻な影響を及ぼしている。
新たな枠組みは政府、規制当局、金融機関、技術関連企業などが連携し、詐欺の予防や検知、被害への対応を強化することを重視する。政策や法制度の整備、国際的な情報共有、各国の経験や有効な対策の共有を通じて、金融サービス全体の耐性を高める方針だ。ただし、これは各国に一律の対応を義務付ける政策指針ではなく、それぞれの事情に応じて活用するための枠組みである。
IMFのゲオルギエワ(Kristalina Georgieva)専務理事は、デジタル金融の普及が従来は銀行サービスを利用できなかった人々にも金融アクセスを広げてきた一方、詐欺の拡大がその成果を損なう恐れがあると警告した。被害への不安から人々が正規の金融サービスを避けるようになれば、金融包摂の後退にもつながりかねない。
デジタル技術の進化によって詐欺の規模と速度が増す中、各国が情報を共有し、予防策を継続的に更新できるかが重要となる。「バンコク・ブループリント」を実際の制度や金融機関の運用に結び付け、国境を越える犯罪組織に対抗できる体制を築けるかが今後の課題だ。
