◎恒大集団は未完成の開発プロジェクトを1,300件以上抱えており、100万人以上が新居への引っ越しを待っている。
2021年9月15日/中国、首都北京の住宅開発地近く(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

9月15日、中国最大の不動産開発会社である恒大集団は債務不履行を回避するために奮闘しているが、投資家の懸念を抑えることはできなかった。

金融格付け機関によると、恒大集団は銀行やその他の債券保有者に支払うべき5,720億元(約9.7兆円)を全て返済できない可能性が高いという。一部の経済アナリストは、同社が進行中の債務問題を適切に処理できなかった場合、共産党指導部が経済に与える損害を防ぐために介入する可能性が高いと指摘した。

格付け情報を提供するフィッチ・レーティングスのアナリストは15日に公表したレポートの中で、「恒大集団のデフォルトは中国のマクロ経済に深刻な影響を与える可能性がある」と述べた。「不動産市場は不安定化し、販売と投資は混乱状態に陥るでしょう...」

恒大集団は銀行や投資家から資金を調達して高層マンション、オフィス、ショッピングモール、住宅開発などを行い、世界を代表する不動産開発会社に成長したが、共産党指導部から債務を減らすよう圧力をかけられ、危機に陥った。

中国共産党は2018年以来、金融リスクの軽減を経済政策の柱のひとつに掲げている。当局は2014年に初めて社債のデフォルト(踏み倒し)を許可したが、借り手と投資家が規律を守ることでデフォルトは回避できると期待されていた。

しかし、中国の企業と政府の総債務は2018年の年間経済生産高の約270%に達し、2020年はほぼ300%に増加した。エコノミストたちは恒大集団の混乱が金融危機につながる可能性は低いと予想しているが、中国経済を牽引してきた主要企業の債務の増加は投資と消費を抑え、経済成長に悪影響を与えると指摘している。

共産党指導部は恒大集団の債務危機に関する声明をまだ発表していないが、フィッチ・レーティングスを含む多くの金融アナリストは、「共産党は未完成の物件を購入した市民を保護するために介入する可能性が高い」と指摘した。

現地メディアによると、恒大集団は未完成の開発プロジェクトを1,300件以上抱えており、100万人以上が新居への引っ越しを待っているという。

フィッチのアナリストは、住宅購入者が損失を被った場合、デフォルトは消費者の大企業に対する信頼を著しく損なうことになると述べた。

習近平 国家主席は、中国の富を全国に広げ、富裕層と貧困層のギャップを埋める「先富論」を推進している。したがって、指導部は、恒大集団に投資した銀行や投資家を犠牲にしてでも住宅購入者を支援する可能性が高いと予想されている。

恒大集団は昨年、当局の規制強化に伴い、債務を返済するために多くの資産を売却した。

一方、同社の株価(香港証券取引所)は15日の取引で34%下落し、ここ1カ月のマイナス幅は50%に達した。

金融情報サービスのREDDは先週、恒大集団は2つの銀行に対するローンの利息返済を停止すると報告したが、同社はこの報告に対するコメントをまだ出していない。

銀行が販売する恒大集団のウェルスマネジメント商品に投資した投資家約100人は12日、広東省深セン市にある同社の本社ビルに押し寄せ、「お金を返せ!」と激しく抗議した。

現地メディアによると、同社のウェルスマネジメント部門の責任者は、「一度に400億元(約6,800億円)返済することは困難」と述べたという。同社がウェルスマネジメント商品で集めた資金の総額は明らかにされていない。

他の主要な中国の不動産開発会社は、資金繰りに苦しんでいるようには見えない。しかし、他の企業は債務の処理に悩まされている。

不良債権管理に焦点を当てる国営の中国華融資産管理は昨年8月、1,029億元(約18兆円)を踏み倒した。しかし、同社は共産党指導部から資本注入を受けた後、リストラの計画はないと発表した。

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