◎ハワードXはキムのモノマネでよく知られている。
2022年5月13日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルン、金正恩のそっくりさん(Mick Tsikas/AAP/AP通信)

北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記のそっくりさんは13日、オーストラリアのメルボルン(ビクトリア州)で開催されていたイベントに乱入し、モリソン(Scott Morrison)首相とリウ(Gladys Liu)下院議員の選挙キャンペーンを妨害した。

ハワードXという芸名で活動しているキムの自称影武者はメディアの取材に対し、「ありがとうございました。リウはオーストラリアの共産主義候補です」と語った。

モリソン首相の補佐官はハワードXに、「失礼ですが、お帰りください。あなたは私がこの選挙戦で見た中で最も不快なものです」と述べ、追い返した。

影武者は「失礼ですが、最高指導者に指図しないでください。私はリウを支持します」と応戦した。

影武者Xはまもなくメルボルンの会場を後にした。

リウ議員はAP通信の取材に対し、「私は自分が代表を務めるメルボルンの住民のために結果を出すことしか考えていません」と語った。「反対派の汚い戦術に気を取られている時間はありません」

リウ氏は香港出身の58歳。AUSに30年以上住み、2019年から連邦議会の下院議員を務めている。

ハワードXの攻撃はクイーンズランド州の上院議員候補者パブロウ(Drew Pavlou)氏が仕組んだとみられる。同氏はSNSで「自分はハワードXと仲が良い」と語っていた。

またパブロウ氏は以前、「リウ議員は中国の指導者を擁護し、共産党とつながりがある」と主張していた。

一方、5月21日の議会選で再選を目指すモリソン首相はメルボルンの会場に集まった中国系AUS人を称賛した。「私は中国政府の自己主張の強さと攻撃性についてよく話しますが、中国国民について何か言ったことはありません。ここにいる皆さん、中国系AUS人の皆さんはこの国で最も期待される愛国者なのです」

AUSは中国とソロモン諸島が先月締結した物議を醸す安全保障協定に深刻な懸念と強い不信感を示している。両国は協定の最終版を公表していない。

ハワードXはキムのモノマネでよく知られている。2018年にはキムとドナルド・トランプ前大統領の首脳会談に先立ち、会場のシンガポールに入国し、空港で尋問を受けた。

オーストラリア放送協会(ABC)などによると、ハワードXはメルボルンの会場近くで警察の事情聴取を受けたという。

AUSの議会選は今週から期日前投票が始まった。最新の世論調査によると、中道左派の野党労働党の支持率はモリソン首相の保守連合を上回っているという。

モリソン首相の支持率はコロナの厳しい政策で低迷し、先月のソロモン・中国協定でさらに低下した。

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